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□ 霜に募る愛の花
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「翔ちゃーんっ」
「うぐっ?!!」

朝一からハイテンションの那月に思いっきり抱き締められて嫌な目覚めをした。


それもそのはずだ…
人の気持ちなどお構い無しに翔が嫌がる服を無断で買って来ては
これ着て寝ろだの何だので
煩いのだ。


昨日も新しいウサギのパジャマが手に入ったから
それを無理矢理、強制的に着せられ
那月の奴が寝入るまで腕の中で拘束される羽目になった………。


正直、俺様の身体と精神がよくもってるなと自分で思うくらいだ。


「つか、いい加減離せよっ!!」
「え〜?可愛いから、いいじゃないですかー?減るもんでもないんですし。翔ちゃん、すごーくすっごーく可愛いですよぉ〜」
「いいから離せって言ってんだろがぁあぁ!!!」


最近の那月はしつこい。


いや……前からしつこい性格ではあったが
最近やたらとしつこさが増した気がする…。



離せと言っても中々離してくれなくなったし
翔が暴れたとしても、余計に抱き締めてくる始末……。





「…はぁ………何か疲れた……」



学校に着いての休み時間


「大丈夫、翔?何か顔色悪いよ?」

今は音也と遊ぶからと言って那月を何とか撒いて来たが…
いつまた現れるのか気が知れたもんじゃない。

「んや…平気。最近、那月がやたらとしつこくてさ…」
「あぁ、そう言えば那月が『僕の可愛い翔ちゃん、どこ行ったんですかー?』とか言って大声で探し回ってたよ?」
「はぁ?!!え、それマジで……?」
「マジマジ。マサもその時聞いてたんだけど、あまりの大声にマサまで照れちゃってさ…」


苦笑を浮かべながら言う音也の言葉に
無意識に立ち上がっていて…
これ以上手が付けれなくなる前になんとかしなければと思った翔は足早にその場から走り去っていた。


走り去る前に
音也の俺を呼ぶ声が聞こえたが
今は音也より問題児の那月をどうにかしなくては!




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