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□ 小さな嫉妬…。
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「翔ちゃんは可愛いです」
男に可愛いと言うのは変かも知れないが
だが、那月と同室の来栖翔は格好良いと言うよりも
可愛いと言う類いなのだ。
「可愛い言うなっ!」
可愛いと言えば
いつもと同じ返答が返ってくる。
しかし、そんな反抗的な姿も可愛く思えてしまって仕方がない……。
「あぁ、可愛い!」
むぎゅっ
あっという間に翔は那月の腕の中にいた。
「はーなーせぇーっ!!」
必死に抵抗するも
力で勝てるはずがなく
結局逃げ出せないまま…。
暫くの間は抵抗を続けていたが気力的に疲れてくると大人しくなった。
そんな翔に那月はクスリと笑い
「……………翔ちゃん大好き」
相手の肩に顔を埋めて小さく囁く…
「………────っ」
返ってくる言葉はないが
きっと相手の顔は真っ赤でどうすればいいのか分からず困っているのだと長年一緒に居るのだから分かりきったこと──
そんな姿さえも可愛く思えてしまって…
「翔ちゃん…」
もう一度名を口にすると
小さく肩を跳ねさせ…
ゆっくりとだが
少しずつ背中に手を回してくる────…。
(翔ちゃんはズルい……)
これ以上、君と触れ合う距離が近くなってしまえば
きっと理性が切れてしまう──
それでも…
誰にも盗られないように…
自分のモノだと示す為に…
キスの痕を残して
鎖を付けたい────。
そんなことをすれば
彼を酷く傷付けてしまうのは分かっているが───。
あぁ………
この距離がもどかしい………。
・fin・