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□ 鏡ノ熱。
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一方その頃
悠太と千鶴は足りない材料の買い出しに来ていた。
「ゆうたん見て見て!このお菓子すげくね?!」
「ちょっと、千鶴…子供じゃないんだから、そんなにはしゃがないでよ」
新商品のお菓子やらを見つけると子供みたいに騒ぐ千鶴に溜め息を吐き
千鶴をその場に置いて、とっとと買い物を済ませてしまいたくなる。
「……………あ」
ふと悠太の目に止まったのは
この前、祐希と一緒に食べて美味しかったお菓子だった
「ほしいなら買っちゃえば?」
後ろから聞こえてきた声に伸ばしかけていた手を引っ込め
「見てただけだから。第一お菓子買いに来たわけじゃないんだから、早く行くよ」
背中を向けたまま
ぶっきらぼうに呟いた言葉とは裏腹に顔は少し赤みがかっていたのだった─…。
(……何やってんだか…オレは……)
いくら、あの時
弟が美味しそうに食べていたからと言えど
自分まで子供染みた態度を取ってしまいかけるとは……何とも情けない話。
さっきの自分のしかけた行動を必死に振り払い
買うものが書かれたメモを手に、それを見ながら早々に買い物を済ませ店を後にした。