02/12の日記
20:24
金剣
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「っ」
指の腹に赤い一筋の線がついた。
セイバーはピリッと走る痛みに眉を寄せた。
―仕方ない
セイバーは作業を一度中断し、絆創膏を探しに立ち上がった。
ここは部室だ。
救急箱はあるはずだ。
片手で引き出しを出し入れしていると、扉が開く音がした。
「おいセイバー、我と茶をする栄にあずかれ」
「断る。私は忙しい」
入ってきて自然にセイバーを茶に誘うアーチャー。
セイバーもお決まりに一瞥だけして、バッサリ断った。
「忙しい?貴様は誰かができる、誰でもいい仕事を勝手にやってるだけであろう。そんなもの誰かにやらせておけ」
我の相手は貴様しかつとまらん。
アーチャーは高慢にそういい放つと、セイバーの側にやって来た。
セイバーは何とも答えられず、アーチャーが側に寄る事を許した。
「ん?貴様、何をしている」
「絆創膏を探している。あった…」
セイバーはようやく救急箱を見つけた。
箱を開けて、絆創膏を取り出す。
着けようとするそれを、アーチャーが横から奪い取った。
「なぜ取るのだ?」
「手を貸せ」
アーチャーから差し出された手にセイバーはいぶかしみながら、手を出した。
「…」
「これでよかろう。早く直せ」
アーチャーは救急箱から傷薬を取り、塗った後に絆創膏を貼った。
意外に普通に治療してくれたアーチャーをセイバーはじっと見た。
「貴様は我のモノだ。我の以外からの傷は許さん」
「………貴様のモノではないが、」
相変わらず落ちぬか。
毎回律儀に否定するセイバーの頑固さにアーチャーは少し呆れた。
「……傷を、手当てしてもらったのは…感謝する」
「……、」
少し唇を噛みながら、どこか悔しそうに言うセイバー。
そのデレ具合に、アーチャーは堪らずセイバーを抱き締めた。
「貴様は誠に我妻にふさわしい!!」
「離せ!!先ほどの発言は撤回する!!」
「恥ずかしがるでない!」
「はなせぇええー!!」
ゲボッ、結局最後はセイバーの肘鉄が腹にはいり、二人の関係は変わらず仕舞いだ。
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