文
□泣き虫娘
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アルトリアは泣き虫だった。
泣き虫だがよく怒って、よく笑う。
そんな女の子だった。
ギルガメッシュはアルトリアが泣いているのをよくみた。
というよりよくそんな場面に遭遇していた。
初めて泣いている所をみた時は、剣道の稽古で前当主にしごかれ痛くて泣いる時だった。
゛ひっく…ひっ…いたぃ…゛
道場で泣けば怒られる。
だから彼女は家から少し離れた公園の隅で隠れて泣いていたのだ。
がアルトリアの泣き声を聞いたギルガメッシュは問答無用で彼女に近づいた。
「おい。ここは我の場所だ。出ていけ」
アルトリアが隠れた場所はギルガメッシュの秘密基地だったのだ。
そっとして置こう…などとはギルガメッシュは思わない。
「うっ…?」
アルトリアはびっくりした様子でこちらを見上げた。
「…ん?誰かと思えばアルトリアではないか」
「ぎるが、めっしゅ、!?…み、みるな!!」
ギルガメッシュはガシガシと涙を拭う少女に見覚えがあった。
珍しく覚えていた。
初めて顔を合わせた時に印象的だったのだ。
「…はん!泣いてるのか。泣いているんだな!」
「なっ…ないてません!!」
「ほほぅ。じゃあ目があかいのはなんだ?お前はウサギなのか?」
「そっ、そっ、そんなわけありません!バカにしないで!」
べそをかきながら食ってかかるアルトリアにギルガメッシュは笑みを溢した。
もちもちしている頬っぺをつまみ上げた。
予想以上に柔らかい感触にギルガメッシュは楽しくなった。
「ふにゃー!!むにゅ、ぎゃ!!」
「んん?何をいっておるのかわからんぞ。ほれ、ほれ」
「むぎゃー!!」
「ぐはっ!!」
グリグリとしすぎたのだろう。
ついに頭にきたアルトリアが足を使ってギルガメッシュの腹に打撃を加えた。
的確に急所を当ててくる所は武道系道場の娘である。
「このっ…おてんばめ!!」
「うるさい!あなたがほっぺをつまむからだ!!」
怒りをはらんだ大きな瞳で睨み付けるアルトリアにギルガメッシュは吸い寄せられた。
―ふむ。べそかいてるよりいいではないか
泣いていたらいじめればいい。
ギルガメッシュの間違った慰め方はこの時から始まったといってもいい。
「ふはははっ」
「なんだっ!!わらうな!」
「ははっ。アルトリアよ。明日もこい」
「え?」
「明日もおれさまの相手をしろ」
「…こ、ことわる!!」
「では皆にお前がないていたと言ってやろう」
ギルガメッシュがニヤニヤと笑うとかなり嫌そうな顔をした。
その顔もそそった。