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□朝練に行く
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「…なにぃ?」
「負けるのが怖いのでは、と言っているのだ」
セイバーがアーチャーを睨み付けた。
交差する視線からは火花が散っている。
「言ったなセイバー。お前は何に出る?」
「バスケだ」
「よかろう。我が直々に相手をしてやろうではないか」
「望むところだ。貴様には負けない」
セイバーの挑みかかる瞳をアーチャーは愉快そうに愛でる。
何処までも真っ直ぐな瞳は闘志が沸く程に美しいのだ。
「ランサー。お前も出ろ。俺様の強さを間近でをみる幸運をうけよ」
「承知した。二人が出るなら是非参戦したい」
「!、本当かランサー。とても戦いがいのある球技大会となった。互いに全力を尽くそう!」
「ああ」
アーチャーは二人の楽しそうな様子に眉を寄せた。
…何故自分よりランサーの参戦を喜んでいるのか。
「おい、セイバー。我が勝ったら何をする?」
「…今なんと?」
「俺様の手を煩わせておいて何もないなど万死に値するぞ」
アーチャーがふんぞり返りながら言いはなった。
その姿が清々しい程に様になっているのが逆に憎らしい。
セイバーは苦々しい顔をしながら答えた。
「誉れを」
「却下だ。この程度の戦で勝者になるのは決まっている。誉れにならん」
「…では駅前の甘味屋゛間桐゛の特製ムシムシ豪華モリモリパフェを献上しよう!!」
「論外だ。ではセイバー、勝ったら何でも一ついうことを聞け」
「む…」
ニヤリと不敵に笑うアーチャーの様子にさすがにセイバーも考え込んだ。
―何を要求されるのか…
金はない。
というよりアーチャーが金で買えるような物は欲しがらない。
明らかに自分に対する嫌がらせをすると推測できた。
セイバーは即答はできなかった。
「どうした?お前がいいだしたのだろう?逃げるか?騎士王?」
「くっ…わかった。受けて立とうではないか、アーチャー!」
「よし。ならば興がのるというものよ」
くくっと喉で笑うアーチャーにセイバーはなにがなんでも勝ってやると誓った。
「…俺ものろう」
「ランサー?」
それまで黙っていたランサーが低い美声を発した。
高揚を隠しきれない情熱の音色は耳にしたものをぞくりとさせた。
「勝った奴のいうことを一つ聞く。わかりやすい。俺ものっても構わんだろう?英雄王」
「はっ。構わん。誰が来ようと同じだ。まあせいぜい我を楽しませろ」
アーチャーは瞳を輝かせた。
楽しくなってきたのであろう。
「いいか?セイバー」
「あ、ああ。構わない」
ランサーの参加に驚きながらセイバーは承諾した。
「さて、学校に着いたな。セイバー、走り込みに行こう」
承諾後のランサーはいつも通りに戻っておりセイバーはランサーの言った事は夢かと思ったほどであった。
「そうだな」
「さっさとすませろ。剣道場で待っててやる」
コーチのように、さも当然の如くセイバーに指示するアーチャー。
しかしアーチャーは弓道部だ。
しかも自主朝練に来る理由が"セイバーと剣道場で朝練をしたい"というわがままなものある。(本人ひ知らない)
セイバーは意味なくふんぞりかえっているアーチャーについにキレた。
「……アーチャー!貴様は弓道場にさっさと行け!!」
セイバーの怒鳴り声は朝の学園に響き渡ったのであった。
(どうなる)
(球技大会)