文
□朝練に行く
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てくてくとランサーとセイバーは朝練をしに学校へ向かっていた。
「そういえばセイバー、今度の球技大会何にでるのだ?」
「私はバスケだ。ランサーは?」
「俺はまだ決まっていない。今日決めるのだ」
「そうか。だがランサーは背が高いから何でも有利だな」
いいな、と見上げられるとランサーは改めて彼女の小ささを実感する。
抱きすくめたくなる衝動にかられるのはきっと彼女が無防備に見上げるからである。
「…セイバーは今年も男子となのか?」
ランサーは目線を反らしセイバーに問いかけた。
「いや。今年は新しい体育先生の一声で全競技男女混合だそうだ」
セイバーは淡々と話すがランサーはほっと息をついた。
―…今回の体育の先生はなかなか見所がある
去年、一年生の時の球技大会ではセイバーがあまりに強いと言って彼女だけ男子に混じってやったのだ。
それが普通と受け止める周りにランサー怒りを覚えたのだ。
「今日は合同で初授業だな。どんな先生なのだろうか?」
「とにかくすごい人だとアイリスフィールは言っていた」
「ふっ。またウジ虫以下の教師だったら我が排除するまでだ」
その言葉と共にセイバーの肩に手を回したのはアーチャーであった。
普段ならギリギリもしくは悠々遅刻をするアーチャーだが、何故か゛自主朝練゛の時だけは早くくる。
―理由は…セイバーだろうなぁ…
自主朝練では来たい人だけが練習に来る日で比較的自由度が高い。
ランサーもたまにセイバーと共に異種対決をしたりする。
セイバーが部にかかりきりにならずに相手をしてもらう日は自主朝練以外なにのだ。
ちなみにランサー以下知り合いは最初から理由はわかっているが当のセイバーは全く気がつかない。
「アーチャー、おはよう」
「離せ、アーチャー!」
ランサーの挨拶に目でだけで答えると優雅な手つきでセイバーを巧みに押さえつける。
セイバーははね除けようとするが剣道具を持っているため上手く動けない。
「おいセイバー、また痩せたのではないか?これ以上貧相になるな」
「うるさい!貴様には関係なかろう!?」
「愚か者が。大いにあるから言っているのだ」
「理解ができん!!」
ばしっ、とセイバーがアーチャーを振り払った。
アーチャーは気にした様子はなく隣を歩く。
ランサーは長刀、セイバーは竹刀、アーチャーは弓を持ちながら共に学校に向かう。
冬木学園の三大強者が春の肌寒い中歩く姿は空気が周りと違い、凛としていた。
「ところでアーチャーは球技大会は何にでるのだ?」
「そんなもの高見の見物だ。我が勝つ事はわかりきっているからな」
堂々のサボり宣言にランサーは苦笑するしかない。
事実アーチャーは何をやらせても優勝するはずだ。
「ふっ。勝負をせずに逃げるとは戦士として最も恥であるぞアーチャー」