文
□保健室
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アイリ→保険医
切嗣→数学教師
「アイリスフィール。少しよろしいですか?」
「あら、セイバー。珍しいわね」
「少し指を切ってしまいまして。絆創膏頂きたい」
「わかったわ。さ、こちらにいらっしゃい♪」
絆創膏を持ち手招きするアイリにセイバーはたじろいだ。
「い、いえ…自分でできます」
「だめ。絆創膏が欲しいならいらっしゃい」
いたずらっ子のように笑うアイリにセイバーは可愛い方だと感心していた。
「…ではお願いします」
「ふふっ。任せなさい」
傷口を洗い、消毒を施してから慎重な手つきで絆創膏が巻かれた。
多少曲がっているのは愛嬌だ。
「はい。できたわ」
「感謝します。アイリスフィール」
「いいえ。私の仕事ですもの」
セイバーは至近距離で天使の微笑みをあげ、今日はなんと幸せであろうかと感動した。
「セイバーったら全然保健室に来てくれないんだもの。もっと気軽に来てくれていいのよ」
「それは…そうなのですが…」
アイリの優しい言葉は純粋に嬉しかった。
セイバーは、ね。と首を傾げるアイリに答えようと口を開いた。
その時―
「アイリ、少しいいか」
「切嗣。また珍しいわね」
「…」
セイバーがアイリに甘えようとしたその時、ちょうどに切嗣は現れた。
のっそり保健室入ってくる、くたびれたスーツで無精髭を生やした男性―信じたくないが学園の天使アイリスフィールの夫なのだ。
ちなみにアイリ夫婦はセイバーの隣に住んでおり、切嗣は婿養子だ。
「切嗣、セイバーと会うの久しぶりじゃない?」
アイリは笑み浮かべて自分の前にセイバーを置き切嗣と向かい合わせた。
が、
「アイリ。イリヤの迎えなんだが」
「……切嗣」
しかし。
切嗣は目の前のセイバーを透明ガラスであるかのように後ろのアイリに話しかけた。
セイバーのハートはズタズタである。(慣れてはいるが)
「今日は僕が行ってもいいか?」
「もちろんよ。ただイリヤにおねだりされても変な事しちゃダメよ」
「わかってる」
「もう、そう言って何時もイリヤのワガママ聞いちゃうんだから」
「すまない。善処はするよ」
まさに幸せオーラ全快で夫婦の会話にセイバーはポツンと取り残された。
アインツベルン夫妻は一人娘、イリヤスフィールを溺愛していた。
セイバーも何度か遊んだ事があり、可愛いと思っている。