失われた書物
□沈む日に涙を
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前世では自殺したが、気付けば生まれ変わっていた
幼少の頃は何故生き直しているか分からず、頭の中では死にたいと喚いていた
しかし、家族がいるのだと思い止めていた
だが、母が死に、手首を何度も切ろうとしたが気づいた父に止められた
隠居した父と一緒に城を移り住んで数年後に父が毒酒によって、あっけなく死んだ
酒好きな父に毒酒を盛るのはとても簡単だったろう
父が死んだ事は直ぐに耳に入り、父の部屋に隠してあった御身刀をだし手首を切った
切ったのは直ぐに知れ城の者によって死ねかったが、六日間は生死の境を彷徨ったらしい
手首を切って寝込んでいた事は本家に残っていた兄の耳に入り、急いで様態を見にこられた
兄には泣いて抱きつかれ、何度も死なないでくれと言われた
兄が本家に帰る寸前に、仕事が出来るようになったら毛利の繁栄を一緒に目指そうと残した
父と兄の願いは毛利と安芸の繁栄、と一緒のことを言っていた
死にたがっていたが兄と父の願い、毛利と安芸の繁栄を手伝うべく知識を少しでも多くと書物を読んだ
そんな時に、またしても兄が死んだ
それを知らされ呆然としていた時に、家臣の裏切りで城を追い出されたが
寝込んだ時など色々と面倒を見てくれている杉の方の助けが有り、毛利家当主として城にもだった
当主として何度も戦に出ては今まで得た知識を使い勝利を繰り返し、中国を統一した
面倒事も沢山あっが、兄と父の願いで死のうなど思わなかったが
癖なのだろうか無意識とか疲れや考え事時に、幼少の時に切った跡が残った手首を爪を立たて掻いてしまう
掻いていると杉の方が止めに入るが、長く一緒にいる事が出来ないので何度か血が滲んでから自分で気が付く
中国を統一たがやはり戦は耐えない
戦の度に、行く宛のない者共が出るが城に連れ帰り、家を与えるが代わりに男は兵として、女は女中として働く
元より行く宛のない者共は何故か皆、自分らの事を駒として見てくれて構わないと何度か言われた
何時か根負けし、兵の事などを捨て駒と言うと喜ばれたが未だ不思議で変わらないが喜んでいるから気にしなくなってきた
今日の来客が来るまでの時間を縁側で茶を啜りながら日向ぼっこして思い返す
《 ガリ 》
あ、また手首を掻いてしまい赤くなる
この原因は最近、徳川が豊臣を倒し、豊臣の家臣であった石田が怒り狂っているとの報告せいだろう
前世で受けた授業の中で出きた天下分け目の大戦も遠くないだろ
そんな時、どうやって毛利家と安芸、元いい中国を守り、あわよくば繁栄に導くかを決めなければならない
一つ一つの判断が重要になり、その先の事も考えなけばならないと重みとして伸し掛る
《 ガリ ガリッ 》
今日もその一つの判断で客と会う
「よぉ、毛利! 来たぜ!」
『…、よくぞ参った』
予定より早い到着は何時もの事か
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