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□小さな祈りと晦日の鐘
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そう――…
あれが、ユアンとの出逢いだったんだ。

少女は閉ざしていた目蓋をゆっくり開くと、足下に降り積もった白雪にぽたり、ぽたりと温かな雫を落とした。

お嬢さん、と。
軽く、極めて軽く。
でも、優しく。
声をかけてくれる人はもう、いない。

ああ、いつ靴を無くしてしまったのだろう。
雪の上の素足は、薄紅色に染まり。
もはや寒ささえ、感じない。

「…逢いたいわ…。…ねえ、どうすればまたあなたに逢えるのかしら」

海の見える白い教会、その太い柱と柱の間に座り込んでいた少女は、ふと、波間に幻影を見た。

――アトリス…

幻影は優しく、ただ優しく声をかける。
雪と紛うほどに白い肌。
陽射しを浴びると太陽のように輝く金色の髪。
透き通った、青の瞳――。

柔らかな笑みとともに伸ばされたその手を取ろうと、少女は立ち上がった。

そして――…
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