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□小さな祈りと晦日の鐘
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「――ねえ、その薬全部買うから、ちょっと僕と話をしていかない?」

それは、ある晩秋の日のことだった。
いつものようにアトリスが薬――…磨り潰した薬草を調合した滋養の薬を売り歩いていると、どこからだろう、鈴のような声がかかって。
滅多に売れることのない薬、野次か何かかと振り返れば、透き通った青の瞳と目が合った。

「やあ、可愛いお嬢さん。僕はユアン。怪しい者じゃないよ」
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