玩具 ━ オモチャ ━

□始まり
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(いい天気、気持ちいいなぁ…)


一点の雲も無い青空を見上げ、少年は大きく伸びをした。


― 少年の名は『七瀬和則』
地元の進学男子校に通う高校2年生。


今は昼休み…
和則は昼食のパンを手に、一人校舎の屋上に来ていた…


(俊、変に思ってるかな、『一人で屋上で食べる』なんて言ったから…)


幼なじみでクラスメートの山口俊の事を思いながら、和則は再び空を見上げる。


(けど今は一人で考えたかったんだ…)


心の中で呟くと、和則は菓子パンを開け食べ始めた。


一口…また一口…


小さくちぎりながら2・3回パンを口に運んだ手が止まる…


「浩二、一体どうしちまったんだろう…」


そう呟くと、和則は昼食を取る手を止め深い溜息をついた…




   『清水浩二』




彼は和則のクラスメート。

そして俊同様、幼い頃から一緒に遊んだ和則の幼なじみ…親友だった。


浩二は幼い頃に両親を亡くし、伯父の暮らす麻生家に引き取られてきた。
麻生家は和則達の住む街では有数の資産家で、多くの事業を展開していた…

そんな麻生の本社で幹部として働く父を持つ和則は、幼い頃父にこう言われた。



『今日から麻生会長の甥ごさんが来るんだ。お前と同い年なんだが、不慮の事故で御両親を亡くしてしまってね…一人きりで心細い思いをしている筈だから、仲良くしてあげるんだよ。分かったね、和則…』

『はい、父さん…』



そして初めて浩二に逢った時、和則は胸が痛んだ。



― 浩二はとても哀しそうに下を向いていた…



(お父さんもお母さんも居なくなって、本当に淋しそう…あの子を元気付けてあげたい…友達になりたい!)


幼心に和則はそう思った。

そしていつしか和則は、本当に浩二と親友になっていた。


同じ幼なじみの俊と三人…




 
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