恋愛モノa

□癒やしの香り
1ページ/5ページ

 はぁぁぁ…。

 成歩堂の大きなため息に、千尋は顔をしかめた。
「なるほどくん…。」
「うぅ、ごめんなさい、千尋さん…でも、やっぱり情けなくて…はぁぁ…。」
「失敗は誰にでもあるわ。法廷じゃなくてよかったじゃない。」
「はい…でも…。」
 成歩堂は泣きそうな顔になった。
「やっぱり僕に弁護士は無理なのかも…。」

 千尋は呆れた顔で成歩堂を眺めた後、給湯室に消えると、マグカップを二つ持って現れた。
「苦くてあたたかい、癒やしの魔法をどうぞ。」
「千尋さん…」
「さ、とりあえず飲んで。話はその後!」

 ふわりと心地良い香りが事務所に広がる。こうして二人でコーヒーを飲むのも何度目だろう。成歩堂は飲み慣れたコーヒーを口に運んだ。
 千尋はコーヒーを飲む成歩堂をしばらく眺めていたが、自分もゆっくりと飲み始めた。

「ねぇ、なるほどくん。」
「はい…。」
「私はあなたの才能をかってるわ。」
「……。」
「あなた自身は気付いてないけど、弁護士に必要なものをたくさん持っているのよ。」
「……そうでしょうか…。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ