恋愛モノa

□静寂
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白くなった髪をそっと撫でる。
薬品臭の漂う病室で変わらず眠り続けているあなた。

会いに来ても、かける言葉が見付からなくなったのはいつから?

コーヒーを飲むのに、何のためらいもなくなったのはいつから?

あなたは確かに此処にいるのに、その声が、その微笑みが、優しい手の感触が、私の中からじわりじわりと消えてゆく…。

残酷なのは、私を残して永遠に眠り続けるあなた?それとも、愛していると言いながら、少しずつあなたを忘れてゆく私?

ゴメンナサイ…こんなに弱い人間だったなんて驚きでしょ?

…お願い、帰って来て。
あなたに出会って、共に生きる喜びを知ってしまったから。
あなたに出会って、孤独を知ってしまったから。

「じゃ、依頼人と約束があるから…。また…。」

また…独りで闘ってきます…。
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