漆黒の嘘つき

□第十一話
2ページ/9ページ




「美味しかったよ。久遠寺く、あ、ごめん!」

『いいよもう、君で』


クラスで完全に男子扱いされているので君付けされようが何されようが気にすることではない。



「じゃあ、奏くん。デザート」

『カン○リーマアムでも食ってろ』


ただ、折原臨也に言われるのだけは別だが。


それでもしっかりカン○リーマアムを投げつけている奏である。


『なぁ、竜ヶ峰』

「あ、帝人で良いですよ。何ですか?」

『この二人は本当に付き合ってないのか?』

「僕に聞かれても……」



一瞬、一瞬だけ帝人の瞳がいつものものになったのだが、それには奏は気づかなかったし、臨也はカン○リーマアムを食べているだけだった。



『で、どうするんだ。11時まで』

「メールももう送ったんだよね? 帝人君」

「はい。送りました」

「運び屋は何かするべきことある?」



PDAに映し出されたのは『ない』という二文字だけ。



悩みに悩みぬいた結果、各々適当に過ごした。



10時には出るということなので、それまで奏はキノの旅を読み、
臨也は携帯と奏と帝人とセルティを順に見回し、
帝人はひたすら携帯電話をチェック、
セルティはイライラしたようにPDAを見ている。



約1名以外、携帯端末を見ているのには理由があった。



三人は連絡を待つのだ。


ダラーズの創始者は帝人だが、それ以外の人間からの連絡。



つまりは他のメンバーの人間。



この作戦は来る人数が少なければそれで終わりだ。
多ければ多いほど成功の確率が広がる。



要は、膨大な人数のカラーギャングをここで利用した大博打。


というよりは一方的な賭けだ。
乗ることしか許されない、大きな賭け。



乗ったのは、帝人、臨也、そしてセルティ。
奏はそれをただ傍観しているだけ、そして臨也が危険に身を投じるようなことになれば、それを排除するというだけのことだ。


奏は臨也の傍にいる存在で、帝人の友人で、セルティとはただの知人。



それだけの人間が。



たかがそれだけの人間がダラーズの初めての集会に参加することになる。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ