漆黒の嘘つき
□第十一話
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その後、数時間後のことである。
セルティ、竜ヶ峰帝人、折原臨也が久遠寺奏の家に訪問して、ゆったりお茶を飲んでいたのは。
とはいえ、首がないセルティは二人が飲んでいる紅茶の味を想像するしかない。
何故こんなことになっているのか。
それは奏が誘ったからに他ならない。
矢霧製薬の人間が帝人の部屋に来る可能性は少なくはない。
帝人は何かを掴んだようだったが、それがこちらにとっては有益で向こうにとっては有害でしかなかったところで、それを時間は必要だっただろう。
ということで。
矢霧製薬が敵に回したくない病院で割と重要な位置にいる父を持つ久遠寺家で時間を稼ぐことにしたわけだ。
「取引しませんか?」
そして自分の家で、なったばかりではあるが変貌した友人が電話を片手にその製薬会社の重役を脅している。
なんとも言いがたい図ではあるが、そのダイニングで3人分(セルティはいらないということだったので)の夕飯を作っている自分は何だと言う話だった。
そう、夕飯。
作戦(?)の決行は夜の11時、今現在の時間帯は夜の7時。
ブランクタイムが4時間、それまでに夕飯を済ませてしまおうという魂胆だ。
発案者は臨也である。
その発案の意図は「奏の料理をたべてみたい」というものだったが、そんなものは奏には関係ない。ただ作るだけだった。
誰かに手伝って欲しいという気持ちがあったが、帝人は今は矢霧製薬のことで頭が一杯だろうし、臨也に関しては料理は卒なく出来そうだがなんとなく台所に入れたくないので自分の中で却下した。
唯一の女性であるセルティに応援を頼んでみたが『悪いが私は料理はからきしなんだ』と、返って来たので奏でやっている。
「奏ちゃんまだー?」
『煩い黙れ。もうちょっとだから待ってろ』
子供と親のような会話をして、テーブルへと持っていく奏大きなさらに盛られていたのは、
しょうが焼きだった。