漆黒の嘘つき

□第七話
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『久遠寺奏です』





私立来良学園にこの三月に入学を許され、四月にその制服を纏った少年少女たちの何分の一かが集まる教室の中で、奏は立ち上がって自己紹介をしていた。



新学年になると必ずと言っていいほど高い確率でやらなければならないことではあるが、どうにも1年に1回しかやらないこの行事に奏は戸惑いを隠せない。



その理由の大半が、いつもならば誰も自分を見なかったのに対し、今年に限っては教室中の人間が奏見ていることにある。





『趣味は……(ナイフ集めはまずいか)読書、ライトノベルが好きです。だからってオタクってほどでもないけど』




自己紹介で言わなければならないのは、自分の名前と、趣味と特技、それから一言を沿える人間もいれば、その一言をギャグにして見事に滑った人間もいる。


自分はそうはなるまいと、奏は必死なのだ。




『特技はこれと言ってないです。それから……















こんな格好ですが一応女です』







普通なら言わなくてもいいようなことを奏が言うとクラスの中にどよめきが走った。
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