漆黒の嘘つき

□第六話
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《昔から都市伝説みたいな感じだったらしいけど、携帯にカメラつくようになったでしょう、あれで写した人とかが多くて、一気に有名になった感じなんですー》

[あー、知ってる知ってる。っていうかあれは都市伝説でもなんでもないですよ。普通の暴走族っていうか、あ、でも別に群れて珍走してるって分けじゃないんだけど]

《二輪なのにライトつけないで走ってるなら充分アホだって》

《人間だったら、だけど》

【話が見えないんですが】

《ああ、えっとね……ぶっちゃけ、化物みたいなんです!》


そこまで読んで、奏はこいつは馬鹿かと思う。
正体がわかってないからこそ思える。
いや、彼女には大体予測はついているのだが。


《黒バイクに乗ってるのはね、人間じゃないの》

【じゃあ何なんですか?】

[ただのバカだって]

《ドタチンなんかは死神だって言ってる》



「ドタチンって誰やねん」


ついつい口頭でツッコみを入れてしまう。
どうして関西弁なのかは彼女自身よく分かっていないのだった。


《実はね、私も見たことがあるの。黒バイクが人を追いかけてるところ》

【ドタチンって誰?】

[警察とかには言った?]

《なんかね、あんなの持ってる時点でもう普通じゃないんだけど》

【……スルー? ドタチンって誰!?】

《最初はよく分からなかったんだけど、あいつの体からね》


『いや、ドタチンの質問に答えてやれよ』


と、再度口頭で答えた後、何度更新ボタンを押してもその後甘楽と名乗る人間がしゃべった様子はなかった。


『そこで黙るのかよ!! ドタチンって誰だ! で持って体から何が出てるんだよ!!』


奏が言った言葉と田中太郎というHNの人間が打った文章はほぼ同じで、それを聞いてるものからすれば大爆笑だっただろう。


実際に大爆笑だった。
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