漆黒の嘘つき
□プロローグ
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自殺。
自分で自分の命を絶つこと。
己を殺すこと。
自ら望んで死ぬこと。
まぁ、自殺する人にはそれなりに理由があったりする。
例えばいじめにあったとか、親に虐待されたとか、そんなまぁ重苦しい事情があるわけだ。
しかし、この私久遠寺奏にはそんなものない。
ただ単に「さっさと死にたいなぁ」と思っていただけであって、自ら命を捨てたいだとかそんなことはひとつも思ったわけではないのだ。
それなのに、まぁ、友人が「私もう死ぬ」などといいだして、「来週の日曜日に私みたいな人達と集まってみんなで自殺するの。奏ちゃん死にたいっていつも言ってたよね? 来ない?」と言われて半ば強制的に日曜日に池袋のカラオケボックスなんかにいるのだ。
そこに集まった奴等は本当に陰気って言うかそんな感じの奴等ばっかりだったのだが、1人だけどう見たって「お前絶対自殺志願者じゃないだろ」といいたくなるような、笑顔の男がいる。
彼は「奈倉」と名乗った。
もちろんそれはHNであって本名ではないのだろう。そいつは突然「君達はあの世をどう思う?」と尋ねてきた。
「あの世って天国ってことですか?」
「私達、これからそこに行くんじゃないですか?」
おいおい、自殺する人間が天国いけるわけねえだろ。
自分で自分殺すのだって立派な殺人なのに、
罪を犯しているのに、
人の命を冒涜しているのに、
天国なんかいけるわけが無い。
奈倉も私と思ってたことと同じようなことを言った。
それによって私の友達含め「騙された」と言って出て行ってしまった。
私と奈倉は除いて。