復活短編
□たまにはスポーツを
1ページ/6ページ
「なんで王子がこんな事しなきゃなんないわけー?」
イタリアの某所にある城の中庭で、金髪の青年は腕を上から下に振りながら、そんなことを口にする。
「しょーがないじゃないですかー。他にやることなんてないんですしー」
金髪の青年の言葉に答える、カエルの被り物をした、緑色の髪をした青年は、下から上に腕を振った。
パシッ
という音とともに舞い上がった、後ろに羽が付いていて、先端には丸い半球体がつけられたもの。
「ってか、なんでこんなもんが、ここにあんの?」
「あったんだからいいじゃないですかー」
「だーからー、なんでヴァリアーの武器庫にバトミントンのラケットとシャトルがあるわけ?」
彼等は、金髪の青年、ベルフェゴール、通称ベルとカエルの被り物をしている青年、フランが所属しているのは、マフィア界で名を知らぬものはいないとも言われている、ボンゴレファミリーの独立暗殺部隊、ヴァリアーという組織。
暗殺部隊、簡単に言うならば、人を殺す組織なのだ。なのに、何故そんな組織の武器をしまうはずの武器庫に、平和な球技の道具があるのか……、知っているはずのフランは、
「知ってるわけがないじゃないですかー」
と、人の神経を逆なでするような間延び口調で、金髪の青年の問いに答えた。
「なんで取ってきたんだよっ」
「たまたま武器庫に行ったらー、発見したんですー」
「持ってくんなよっ」
「とか言いながら、ちゃっかりやっちゃっますよねーベルセンパイ。さっすが堕王子」
「てんめ」
ベルは、ラケットでシャトルを打ち返しながら、袖からナイフを取り出した。