長編

□1
1ページ/1ページ


あの時どうすればよかったんだろうか。止めればよかったんだ。そんなのはわかっていたけど止められなかった。ただその走っていく背中を小さくなるまで見送ることしか出来なかった。

小さい頃、いきなり家に来たかと思うとニャン子は目を真っ赤にして泣いて俺に言ってきたんだ。
『ロケット団にポケモンを取られた』って。
そのあとニャン子は、私が弱かったから守れなかった、私のせいなんだ、なんてらしくない弱音を吐いていたから、そんなことないって言いたかったけれど、喉が声を出そうとはしなかった。
ニャン子は『強くなる 絶対に取り戻す』と泣きながら俺に宣言をした。

それから5年の月日が経ち、15歳になった俺達はもうあの時とは違う。俺は四天王を倒しチャンピオンになっていた。
なのについさっきまでいたニャン子を俺は止めることが出来なかったんだ。5年間の間でニャン子は随分と変わってしまっていた。
いきなり家に来たかと思ったら『ジョウトに旅に出る』と一言言ってきて、俺が理由を聞いたら『取り戻すため』と言った。確かロケット団はレッド兄が解散させたと言っていたがジョウトで復活をしたらしい。どうせニャン子のことだから取り戻すだけじゃ済まないだろう。そんなのは危険すぎる。なにせ相手はロケット団。人数は多いし強い奴もゴロゴロいる。でもニャン子は行ってしまった。そんなニャン子を止めれなかった俺は臆病だ。力になれなかった俺は弱虫だ。

そんなとき、オーキド博士に呼ばれて行ってみるとポケモン図鑑を全国図鑑にしともらい、様々な地方のポケモンを記録してほしいと言ってきた。
このチャンスを逃すことは出来ない。
俺はニャン子の後を追うように旅に出ることを決めた。

行き先はジョウト地方。


今度こそニャン子のことを助けるために俺はリザードンに乗って飛び立った。










止められなかった俺




_

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ