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□雨の訪問
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最悪。心の中でポツリと呟く。さっきまで雨は降ってなかったのに、何でこんないいタイミングで降ってくるんだ、と一人文句を言う。

何故か今日に限って傘を持ってきていない自分にも腹を立てる始末だった。
私が一人でブツクサ文句を言っていると、学校から一人の男の子が出てくる。名前は確か…ファイア君、だったはず。
同じクラスで、あまり話すことはない。
一つ上の学年のレッド先輩の弟だ。

ファイア君はチラッと私を見ると何故か笑ってきた。
ファイア君はおもむろに鞄から傘を取り出す。この野郎、わざと見せてやがる。苛立ちを感じながら、フイッとまた雨に目をやる。
しかしいつまでたってもファイア君は動こうとしない。
そんなに傘があることを自慢したいのか、早く帰れ。
そう願っていたらファイア君が口を開いた。
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