企画
□もしも、半兵衛がパティシエだったら…?
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とある街の一角に小さなケーキ店がありました。
そこには傲慢なオーナーと、自由奔放な雇われパティシエがいました。
「やっぱり、今の季節はモンブランだよね〜」
モグモグ。
「あーこれからクリスマスシーズン到来かぁ…面倒だなぁ」
ムシャムシャ。
「クリスマスケーキにチョコ頼む奴って邪道だよね」
モグモグ、ムシャムシャ。
「やっぱり、クリスマスと言えば生クリームに限るよね〜」
ブツブツ独り言を呟きケーキをたらふく食べる見た目がどう見ても中学生なコイツこそ、このケーキ店のパティシエ・半兵衛。
これでも、腕は確かです。
「半兵衛!しっかり仕事しろー!!
というか商品のケーキを食うなっ!!」
そんな半兵衛に怒鳴り付けるのはこのケーキ店のオーナー。
しかし、半兵衛は全く怯まない。
「…オーナー、これは試食ですよ。パティシエは日々新作を思案しなければならない。そのヒントを試食にて得ているんです。
いくらプロだからってそれを怠ってはプロとは呼べないんです。ケーキ作りに終わりはない、これを頭に入れておいて下さい」
「それのどこが試食じゃーッ!!ガッツリ食ってるではないかぁーッッ!!」
商品のほぼ半分はありません。
しかし半兵衛はやっぱり怯まない。
「はあ…、店の経費を使い込んでる貴方に言われたくありませんね。このままだと店、潰れますよ」
「Σな、何故知ってるーッッ」
オーナー、ピーンチ。
「何だったら、俺にこの店下さいよ。大体、貴方がオーナーになるには早すぎたんですよ(モグモグ」
「ぬ、ぬけぬけと良くも…!
だから商品を食うなっ!!」
「試食だって言ってるじゃないですか、しつこいなぁ。
俺、夢があるんですよ。自分の店を持つっていう夢が。ただ、最初からやるってなると面倒で面倒で…。だから俺に下さい。実際経営も悪いんだし、俺ならこの店を軌道に乗せる自信ありますし」
「貴様〜…!小馬鹿にしよって…っ」
「別に小馬鹿にはしてませんよ。オーナーは経営者には向いてないっていう事実を言ったまでです。
やっぱ俺の作ったケーキが一番美味しいよね〜俺って天才♪」
「この…!」
口も達者な半兵衛にオーナーは拳を握り締め、ただただ顔を歪ませるしか出来なかった。
その一週間後。
いつもと変わらないあのケーキ店。
だが、オーナーの姿はそこにはなかった。
「イエーイ!乗っ取り大成功♪俺ってやっぱ天才!
店も持てて、ケーキ食べ放題!一石二鳥ってまさにこれだね〜(モグモグ」
…これでも、腕は確かです。
◇◇◇◇◇◇◇◇
オーナーは勿論、龍興(笑)
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