短編

彼と私と蹴鞠と
1ページ/4ページ

「ほほ、蹴鞠は楽しいのっ、ほれもっと蹴鞠ろうの、のっ」

『………………』



私は今、蹴鞠ってます。
別にやりたくもないのに、押し切られやるはめに…。


何故こんな事になったか。
それは約5時間前に遡ります―――













今日は日曜日で学校も休みで遊んで来た私。

夕方に帰宅した私はまずお風呂を沸かしました。

お風呂大好きなんです。
お風呂には平気で一時間は入れます。



沸かそうと風呂場に入った時には何も異常はなかったんです。

なのに、いざ入ろうと再び風呂場に入った時に緊急事態が起こりました。









ガラッ




『………………し』


何故か風呂場の湯舟の中に顔だけ突っ込んで息絶えている?人が居ました。




『死んでるぅぅーーー!!!奥さん、旦那様が死んでるわ……っっ!!!!!』



二時間ドラマの定番シリーズ"家政婦は見た"の再放送を昨日見たばかりで影響されたのか、私は思わず市●悦子さん演じる秋子さんになってしまいました…。

二時間ドラマって何気に面白いんです。






何で人…!!??
え、泥棒!!??
何で顔だけ突っ込んでる情態!!??

疑問ばかりが私の頭の中で渦巻いていました。



でも…命は大切にしたい。


遅くない…、まだ間に合うかも…!!!

疑問なんてもうどうでもよくなった私。


例え泥棒だとしても人一人の命が助かるのなら…!!





取り合えず、その人を湯舟から引き上げました。

…すっごく重かったです。
メタボってんだもん……。




息はしてるみたいで、取り合えずホッとしました。


このまま風呂場に寝かせる訳にもいかないので、せめて洗面所に寝かせようと思い風呂場から洗面所へと移動を試みました。







『ふぬぅーっっ!!!お、重すぎる……!!
痩せろー、今すぐ痩せろ頼むから』

無理な願いなのは分かってますが、こう願わずにはいられないくらい重かったんです。




『…絶対この人糖尿病だよ、腹すごいプヨってる……っ、ブッ


思わず吹き出してしまいました。

今の今までよく顔を見ていなかった私。







この人、バカ殿…?

志●けんのバカ殿…?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ