現代戦国漫遊録

□現世での初任務
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(な、何…、此処………)



様子がおかしいーーー


何ヵ月も前から思っていた。
だけど、確かめる術がなかった。


部屋で執務をしてると思えば、次に見た時には消えている。
気配すら感じられない。

何処を探しても何も手掛かりすらない。


そして、気付けば鍛練に勤しんでいたりしている。


城下に行けば普段なら決して寄らない茶屋に行き、団子や大福を大量に買い上げている。
幸せそうに、微笑みながら。


以前より、感情豊かになったような気もする。
優しいのは変わりはない。眩しい位の笑顔も。けれど、ちょっと性格的に弾けたというか…。
今までからしたらありえないような発言をしたり、南蛮語のような意味不明な言葉を発したり。南蛮等、知る限りでは今まで興味すら示した事はなかった。



何かある。
絶対、何かを隠している。


数ヶ月間モヤモヤした結論ーー

ついに彼を張る事にした。


主君を張るなんて、何ていう事か。愚弄でしかないし、何より情けない。信用出来ない自分が。

だけど、知りたかった。
彼の秘密を。
そして、ついにその時はやってきた。



だけど、映し出されたその世界にただただ呆然とするばかりだったーーー















真夜中、気配も音もなくある部屋に降り立った影が一つ。
数秒じっと見つめると、喉元にクナイをギリギリの距離につけた。



(……、何処にでも居そうな、普通の子…だけど、)


だけど、見てしまった。

諸悪の根源はまさに今目の前にいるこの少女。何も気付かず、スヤスヤと呑気に眠る自分と歳もさほど変わらないであろう少女。

変わってしまったのはこの子のせい。

見たこともないこのおかしな世界で、動揺しながらも落ち着きを取り戻し、掴んだ事実。







(………これもお仕事お仕事、)


なのに何故だろう。
躊躇ってしまうのは。

人を殺める等、自身にとって簡単な事なのに。




(っ、

……さよならっ、)


意を決するように、胸の内で叫ぶ。



(ーーーーー!?)






しかし、クナイが喉元を裂く事はなかった。


そっとその場を離れ、窓から飛び出すと一直線に向かった先ーーー






















「クク…、流石よな。時空を飛び越えてまでも尚、仕事熱心とは、な…」

見覚えのある、もう一つの影がそこにはあった。



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