-short story-☆

□『焔の誓い』 (小説)
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もし、あの日…あなたが僕を選んでくれていなかったら、こんな苦しい思いもなかったのに…




「その子は炎タイプの“ヒノアラシ”」


「うわぁあ…ーーーこの子かわいい」



あなたに初めて出逢ったあの日、あなたは目を輝かせて僕を見た。




「ウツギ博士、私、この子が良いです!この子にします♪」



「うん、きっとそのヒノアラシ良いパートナーになると思うよ」


「はい!私、立派なポケモントレーナーになれるようにこれから頑張ります!博士、ありがとうございます!」




真っ直ぐな好奇心に溢れた澄んだ瞳で、ぎゅっと僕を抱き抱えた。ヒノアラシの時は大きく感じたあなたの腕の中に。




「ヨロシクね、ヒノアラシ♪」




僕はあなたに抱き抱えられた事に驚いて、背中の炎を勢いよく噴かせて、あなたを火傷させかけてしまったけど。



それからあなたと僕はワカバタウンを旅だって、いろんな場所を巡った。

その旅の中で、僕達はいっぱいトレーナーと戦って、いっぱい出会いを重ねて、最初はあなたと僕、一人と一匹だった僕達にもたくさんの仲間が出来た。

だけど、そんなたくさんの仲間の中でもあなたはどんな仲間より僕を1番に信じてくれた。
苦戦を覚悟で挑んだレッド戦の時も…




「お願い!バクフーン!!」



「!」

「バグッ!!」




それが僕は何よりも嬉しくて…だから僕もそんなあなたの期待に応えたかった。

それにーーー…
あなたの期待に応える事だけが嬉しかったんじゃなかった。


僕はただパートナーだからじゃなくて…あなたに対して特別な感情が抱き始めていた。


そして…共に過ごす時間の中で、あなたを知り、あなたの事を想い続けているうちにいけない事だとわかっていたけれど、気づいてしまった。



『人間』のあなたを『ポケモン』である僕が…『人間』と『ポケモン』枠を越えて好きだと…愛していると。



僕はあなたの事をずっと…ずっと愛していました。






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