短編
□ジサツ日和
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「先輩、誕生日おめでとう。」
今日は一年で一度のあの人の誕生日
「俺さ、頑張ったよ。…先輩居なくても。」
そう、丁度今日みたいな曇りの日のこと
―――「先輩なんか知らねぇ。ホント俺の事怒らせる天才だよ。」
「ちょ、赤也…ッ、話聞いて……」
「しつこいッスよ。いい加…げ、ん…」
そう、一瞬だった
「あか、や…ッ」
少し後ろには今にも車と接触しそうな先輩
助けに行かなきゃ、と思っても体が動かなかった
そして、先輩は消えた
最初は嘘だと思った
現実じゃないと思った
あんな事で喧嘩なんかするんじゃなかったって何度も後悔した
でも、現実だった
後悔したって遅かった
「もう、色々限界きた。疲れた。今、先輩ンとこ行くから。パーティーしようね。」
――今日のニュースです。今日午後2時頃、神奈川県XXの交差点でトラックに少年が跳ねられる事故がありました。この交差点は先月も事故が起こったばかりで――…。
今日は生まれ変わった俺の誕生日
誕生日同じだね、先輩
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