狼の巣窟
□狼の巣窟〜七人の狼〜
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終着駅はない。
どこへ向かっているのかも、わからない。
その少女はふらふらと歩き続けた。
彼女の長い髪が凍てつく風で大きく揺れると白い肌が覗き、頭を覆う大きめのフードが揺れるとぱっちりとした彼女の瞳が、今は苦痛の表情に歪んでいるのが見える。
段々と息があがってきた彼女の背中にあるリュックは旅のものとは思えないとても小さなもので、荷物も重そうには見えない。
足元を見ると、雪が積もった森の中を歩いているのにも関わらず、彼女は使い古したスニーカーを履いていて、歩けているのが奇跡的だった。
今すぐ温まれる場所を確保しないと、さすがにやばいな…。
手足が寒さで痛いのを通り越して、何も感じなくなって来た。
このままだと凍傷で、手も足も使えなくなるだろう。
少女は何かに導かれるように突然顔を上げると、前方に開けた場所があるのに気づき、そこに向かってゆっくりと歩いて行った。