狼の巣窟

□狼の巣窟〜七人の狼〜
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もう、どれくらい歩いたんだろう。

森の中をさ迷うこと数時間。氷のように冷たい風が吹き付ける季節…冬。

体の芯まで冷え切った私は、雪の積もった地面を一歩一歩踏み締めては立ち止まり、両手に優しく息を吹きかけていた。

それは白く広がり、一瞬宙に漂っては…手の平の微かな温もりと共に静かに消えて行く。


たくさんの木々に覆われているせいで、昼間なのに薄暗い森の中、フードの合間から少し見える淡い薄茶色の髪が歩く度に揺れていた。
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