狼の巣窟
□狼の巣窟〜七人の狼ナイト〜
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暗い闇の中、私は一人で立っていた。
胸の中にあるのは、深い悲しみだけ。
生きるか、死ぬか。
“絶望”のさなか、私は出口のない迷宮を行く。
体力も精神的にも、限界が近づいて来ていた。
もう、“死”が間近に迫って来ていることは、自分自身が一番わかる。
「私もここまで、か…」
私の口から漏れた声は弱々しく、誰にも届かないまま消えて行った。
…そんな時、ふと、闇に一筋の光が差し込む。
なんだろう?
私が上を見ると、そこには………。
・
・
・
「ん…」
目を覚ますと、何故か心が温かかった。
最近、夢でうなされることはあっても、こんなに清々しい目覚めはなかった気がする。
胸に手をあて、夢の内容を思い出そうとするけれど、全く思い出せない。
私は木の香りに違和感を覚え、考えるのをやめて辺りを見渡した。
そうだ。
私、今は“狼の巣窟”にいるんだった…。
家の中は薄暗く、まだ早朝のようだった。
ぼやける視界で、プスプスと音を立てる暖炉の弱々しい火を頼りに居間を見渡す。
7人の“狼”たちはそれぞれ自分の場所で眠っていた。
蓮さんは机の下。
永久くんはベットの中。
日向は暖炉の側。
岬くんは台所。
若様はタンスの側。
橘さんは洗濯物の近く。
そして、黒沼くんは大きな時計の側だ。
狭い空間に、男の人が7人。
私も含めると家の中はかなり窮屈で、私が黒ソファを占領しているから…余計狭くなっている。
なんだかみんなに申し訳ない気持ちが込み上げて来た。