ごちゃまぜ
□悪夢を消して...
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あっという間に一日という日が終わり、いつものように大好きなご主人とベッドに入る
おやすみとつぶやいて瞼を閉じて僕は意識の船を漕ぎはじめる
夢を見た...
それは毎日見ているような楽しくて幸せな夢なんかじゃなくて、ずっと忘れていた過去の夢
ご主人に拾われる前のずっとずっと前の記憶
詳しい事はほとんど覚えてなんかいないけれど、ご主人と出会う前の僕の世界は暗くて、寒くて、寂しくて、一人ぼっちだった...
僕は自分の瞳が嫌いだった
右と左で違う色
汚くて、不自然で嫌い嫌い大嫌い...
でもご主人と出会って自分の瞳が好きになった
僕の頭を撫でて、『猫玲の両目は素敵な色をしてるわね』って言ってくれたから
夢の中で僕の頭を撫でるご主人の顔が見たくて顔を上げた瞬間、目の前が砂嵐の様になってご主人が見えなくなる
「ご主人......?」
何で、どうして...ご主人が見えないよ...
次に僕の目に写ったのは僕の前を歩くご主人
同じスピードで歩いてるはずなのに距離はどんどん離れていく
僕はずっと走ってるのに追いつく気配すらない
「まって...!おいてかないでっ」
待ってご主人...!嫌だよ、僕を一人にしないで...もう一人ぼっちは嫌なんだ
『......玲、猫玲!!』
「......え」
激しく体を揺さぶれ目を覚ます
僕の胸の辺りがドクドク言って息が荒くなる
『すごい汗...猫玲大丈夫?うなされてたわよ』
「ご...しゅじ...?」
はっきりと覚えているさっきまでの悪夢
がたがたと身体が震え出して涙が溢れる
「ぼく...ぼくっ......」
『可哀相に...こんなに震えて、悪い夢を見たのね』
僕を抱きしめるご主人の身体が暖かくて安心した
「うっ...ご主人っ......ひっく、僕のこと...捨てないで、一人にしないで...ぐす......もう、一人ぼっちはやだよっ」
『大丈夫、大丈夫よ...あなたを捨てたりなんかしないわ、ずっと一緒にいる』
そう言って僕の頭を撫でる
今度ちゃんとご主人の顔が見える
夢の中とは違う、本物の僕の大好きな人
「ほん...と?」
『私が嘘ついたことあったかしら?』
「...ない」
『でしょ、だから安心しておやすみ...落ち着くまでこうしててあげるから』
ふわりと笑ってもう一度強く抱きしめる...気持ちがいい
ねぇご主人、これからも大好きな貴女の愛で僕を包んで
そしてその愛で僕の...
悪夢を消して...
(そうして僕は幸せな夢を見るためにまた瞼を閉じた)