ごちゃまぜ
□君にとっては
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「ねー、ご主人」
『んー?』
雑誌を読んでいると隣に座る猫玲がクイクイと服の裾を引っ張ってきた
「この人たちは何をしてるの?」
『え?』
猫玲が指差すテレビに写っていたのは恋愛ドラマのキスシーン
『あー......』
「ねぇご主人ってばぁ」
これは...教えた方がいいのか?
いやいや、でもこの子には早過ぎる気がする
『あれはキスっていうの』
「きす??」
猫玲の頭の上にはクエスチョンマークが浮かんでいた
『そぅ、好き同士の男の子と女の子がするのよ』
そう言えば、猫玲の大きな目がキラキラと輝いていた
まぁ、このくらいなら教えても問題はないでしょ
「じゃあ僕ご主人ときすしたい!!」
『ぶっ!?』
はい?
またこの子は...興味持ったら何でもやりたがるんだから
『あ、あのね猫玲、キスってゆうのはお互いが好き同士じゃなきゃダメなのよ』
「じゃあ...ご主人は僕のことキライなの?」
さっきまでキラキラと輝いていた両目には今にもこぼれ落ちそうなほど涙がたまり、耳と尻尾も垂れ下がっていた
『あ、いや、嫌いじゃないけど』
「僕、ご主人大好きだよ?僕、ご主人じゃなきゃやだもん...」
やだもんって...
猫玲は私の服をぎゅっと握って俯いてしまった
全く...
『しょうがないなぁ』
「ふぇ?」
教えちゃったのは私だしね
これくらいはしょうがない
頭を撫でて、猫玲の顔を上げさせる
『一回だけね』
「えへへ、やったぁご主人大好き!!」
ルンルンと尻尾を振って待っている猫玲のおでこにチュッと短いキスをする
『はい、終わり』
「.........」
顔を離すと、猫玲は不機嫌だった
『......な、何?』
「だって...ご主人...おでこにした...さっきの人たち口にしてたもん」
両頬をプクーと膨らませて上目遣いで見てくる
いや、でもそれは...まだ教える訳にはいかないかな
君にとっては
まだまだ先の話
(ねぇ、ご主人ってばぁ!僕も口がいーよぅ)
(だから駄目だってば)