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□君の夢×僕の夢
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ドサリ...

最近私の部屋の本棚がいっぱいになってきたので思いきって整理する事にした

小説やら漫画やら何かと本を溜め込む私には本棚一つじゃ全然足りなくて、家にはいくつか本棚がある

「マスターこれは?」

『あー...それも良いや捨てちゃって』

「了解」

レンは言われた通りに本を重ねて紐で縛る

その様子を見ていると上から一冊の本が落ちてきた

『あいたっ!』

見事に私の頭に直撃した古い本を良く見たら私がまだ幼い頃に書いた卒業文集だった

「あ、マスター大丈夫?」

『うん...』

「何それ?」

『えっと...卒業文集かな多分幼稚園の時くらいに書いたやつ』

レンも興味を持ったらしく、一時作業を中断して文集を開く

テーマは『将来の夢』だったのだろう、様々な夢が幼い字で書かれていた

クラスメートの夢、仲の良かった子の夢...

ペラペラとめくって行く手はあるページに差し掛かる前に止まり本を閉じた

「マスターどうしたの?まだ残ってるじゃん」

『あー...いや、もう良いでしょ?作業再開しよう』

「でも、俺まだマスターの将来の夢見てない」

うぐっ...
その一言を聞いて私の肩がビクリと動いた

見せないために本を閉じたのに...

とてもじゃないけれどあの頃の私の夢は自分で笑ってしまうほど幼かった

ましてやレンみたいな明らかに今風の少年になんか見せたら笑われるに違いない

『や、本当しょうもない夢だから!』

「.........」

そんな淋しそうな顔しないで下さい
お願いだから

ため息を一つついてチラリとレンの顔を見た

『...笑わない?』

「!...笑ったりするわけないじゃん」

私は膝を抱えて顔を俯かせて小さく話した

『...お姫様になりたかった......小さい時...くだらないでしょ...?』

だんだんと小さくなっていく声
あぁ言ってしまった...絶対笑われる

夢見すぎだって言われるに違いない

「何で?良いじゃんお姫様」

『え?』

「綺麗なドレス着て、美味しい物食べて、王子様と結婚できて最高じゃん」

淡々と真面目に返してくるレンに拍子抜けしてしまった

『...笑わないの?』

「だから言ったじゃん、笑うわけないって...あー、でもマスターがお姫様だったら俺何になろう...やっぱ王子様かなぁ」

『召し使いじゃなくて?』

「ちょっ、ここでよそん家のパクんなよ!マスター知らないの?お姫様と王子様は永遠に結ばれるっていう鉄則があるんだよ」

『どんな鉄則よ全く...でも、ありがとうちゃんと聞いてくれて』

「当たり前」

レンがあまりにも真面目に話すものだから、この歳になっても少しくらい夢見がちになって良いかな...なんて思ってしまう私がいた



君の夢×僕の夢

貴女の夢が僕の夢でもあるんだよ


(じゃあさっきの文集のマスターのページ見せてよ)
(う...しょうがないなぁ)
(何なに?...わたしの将来夢はお姫様になって玉の輿になることです...ぶはっ!!玉の輿って!)
(え、ちょっと私何て事書いてんの!?ってかレン笑い過ぎ!)
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