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□愛 hope with you
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ちらほらと桜が咲き始める頃、窓の外で一枚の花びらが散ったのを見てマスターがぽつりと呟いた
『願い事って本当に叶うと思う?』
「は?」
『いや、桜の花びらが地面に落ちる前に3枚掴めたら願いが叶うってジンクスあるでしょ?あれ、本当に叶うのかなぁって』
あぁ、そうゆう事か
いきなり突拍子もないことを言うものだからまともな返事ができなかった
「マスターは何か叶えたい願い事があるの?」
そう問えば、マスターは笑顔で答えた
『いっぱいあるよ!甘いもの沢山食べたいし、もっとオシャレもしたいし、おこずかいも欲しいし...』
「ちょ...マスターどんだけ花びら取る気なの?」
マスターの願い事は次から次へと出て来て、全部を叶えるとなると軽く桜の木一本分くらい花びらを消費するんじゃないかと思う
『あとね...』
「まだあるの?」
『もっと沢山レンの曲を作ってあげたいし、もっとレンに好きになって欲しい!』
「っ!」
今のは...かなりキタ
全く、俺のマスターは何時もいとも簡単に俺の心を奪って行くものだから困る
『でも、本当に全部叶えられるかな...』
少しだけシュンとしたマスターに苦笑した
「良く分からないけど、多分気持ちしだいだと思うよ」
『気持ち?』
「その願い事に対する想いが強ければ叶えなれるんじゃないかな」
...なんて本当かどうか分からないけれど
ふとマスターを見ると『うーん』と少し考えてから『そっか!』と納得したように笑った
『じゃあレンは?レンは何か叶えたい願い事ないの?』
「俺?」
俺の願い事は...
「ないしょ」
『えぇー!?何で!』
「だって願い事は言ったら叶わないって言うでしょ」
『うっ...』
クスリと笑ってマスターの額に自分の額をコツンとくっつける
俺の願い事は、マスターが幸せでありますように...貴女の笑顔が永遠に続きますように
愛 hope with you
(これで伝わった?)
(うーん...わかんない)
(もう叶ってるようなものだけどね...)
(え?)
(ううん...何でもない)