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□僕を呼ぶ君の声
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『レーン!』

そう言って抱き着いて来るマスター
一瞬倒れかけたけどそこは何とか耐えた

この時が、一番好き
マスターが俺をの名前を呼ぶこの瞬間が何よりも幸せ


人とかには何かしら一番好きな曲とかがあるわけで、俺にとっての一番好きな曲はマスターの声

マスターの発する全ての音が俺にとっては心地好いメロディーに聞こえる

それはキーボードを打つ音であったり、キッチンから漏れる音であったり、俺を呼ぶ声であったり...


『あぁーレンの匂いー...』

「ちょっ...マスター、変態っぽいからやめてよ」

『むぅ...』

だけどマスターを抱きしめる手は絶対に緩めなかった

「マスター...」

『んー?』

マスターはモゾモゾと俺の肩から顔を上げた

「名前...呼んで」

『何で?』

「良いから早く」

『...レン』

「もっと...」

『レン』

「もう一回」

『レン』

「うん、ありがとう」

呼ばれる度に鼓動がワンテンポずつ上がって行くのが分かる
マスターに伝わってなければ良いけれど

『どうしたの?』

「んーん...何となく」

『変なの』

マスターはクスリと笑って俺の頬を両手で包んだ

『レン...』

「えっ...」

気付いた時には塞がれてた唇

「っ...」

『顔真っ赤ー』

「う、うるさい」

不意打ちとかズルい
当のマスターはというとどこか得意げに笑っていた

『レン』

もう一度名前を呼ばれて顔を見れば、満悦の笑みで俺を見るマスターにまたワンテンポ鼓動が早くなった


僕を呼ぶ君の声

それが、僕の世界一大好きなメロディー


(レンって名前呼ばれるとすごい嬉しそうにするよね)
(うん、嬉しい...マスターに名前呼ばれるの大好き)
(じゃあこれからもっと名前呼ぶようにしよーっと)
(...ありがとう)
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