Project

□Snow Fairy
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冬も終盤に入った今日この頃、今朝は一層冷え込むな...と半分意識が朦朧とした頭で考える

「ご主人、ご主人!」

部屋バタバタと入って来たと同時に猫玲が私のベットをばふばふと叩く

「起きて!ご主人起きて!」

『もう...何...』

眠い目を擦りながら瞼を開けると目の前に猫玲のドアップ

『ちょっ、猫玲近い...』

「えへへ!おはようご主人」

『わっ!』

ぱあっと効果音が付きそうなくらいの笑顔で抱き着いてきた猫玲を寝起きの私が受け止められるわけもなく、起こした上半身は再びベットへダイブ

「ご主人あったかぁい!」

『あったかぁい...じゃ無くて、どうしたの?何かあったから起こしに来たんでしょ?』

そう言うと猫玲は思い出したように顔をあげた

「あのね、外に雪がいっぱいなの!すごいんだよ、みんな真っ白なの!」

尻尾を左右に振り、興奮気味に話す猫玲に思わず吹き出してしまいそうになる

雪か、どうりで寒いわけだ

「僕ご主人と外行きたい...ダメ?」

私の服をぎゅっと掴んで言う猫玲の頭を撫でてベットから下りる

『じゃあ行こうか、準備するから少し待ってて』

「わぁい!ご主人大好き!」

部屋から上機嫌で出ていく小さな背中を見送って私は支度を始めた



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『うわ、大分積もってるね』

「すごいすごい!ご主人も早く遊ぼうよっ...あっ」

猫玲が走り出した瞬間足を滑らせた

『危ない!』

運よく猫玲を後ろからがっちり抱っこしてセーフ

『こら、雪は滑るんだから走っちゃ駄目でしょ』

「ご、ごめんなさい...」

『次から気をつけるのよ』

「うん!」

猫玲は一瞬だけシュンとしたがまた雪の魅力に誘われて銀世界へと飛び込んでいった

こうやって見ると雪の中ではしゃぐあの子はまるで雪の妖精のようで、見ている私の口元が緩むのを感じた

「ご主人見て!」

しばらくして猫玲が雪の塊を持ってこちらに駆けてきた
走っちゃ駄目だって言ったのに...

『なぁに?』

「あのね、これご主人に作ったの!僕頑張って作ったんだよ!」

はい、と見せられた手の平には雪うさぎがチョコンと乗っていた

『ふふ...ありがとう猫玲、大好きよ』

そう言って猫玲をぎゅっと抱きしめる
猫玲はというと雪うさぎを落とさないように両手を高くあげていた

「へへ...僕もご主人大好き!!」

『でも私の雪うさぎだけじゃ淋しいから、猫玲の雪うさぎも作ろっか!』

「僕の...?」

『そう、私猫玲と一緒がいいもの』

「!...僕も、僕もご主人とがいい!」

大きな目をクリクリさせて、嬉しそうに言う

そうしてまた小さな頭を撫でて、もうひとつの雪うさぎを二人で作るべく再び銀世界へと踏み出した



Snow Fairy


冷凍庫に並んだ二つの雪うさぎ
それはどこか寄り添って見えた


(僕とご主人はずっと一緒だよ...)
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