捧・貰

□君の香り、その意味
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ある温かな昼下がり、読書をしていた私の隣でレンが思い出したように呟いた

「ずっと思ってたんだけどさ、マスターって香水つけてる?」

『え?』

香水?
はて、何の事だろう...

私は生まれてこのかた香水やコロンを付けたことなんて一度も無いし、買った事すら無い

『どうしたの急に...私そんなに変な匂いする?』

だとしたらかなりショックだ

「いや、何かマスター抱きしめた時とか良い匂いするから香水とかつけてんのかなぁって思って」

『良い匂い?』

「うん、なんて言うか...甘くて、優しくて、あったかい匂い」

本当にそんな匂いするのだろうか...
気になって手首を顔に近づけてすぅと息を吸い込む
しかし、甘い匂い所か何の香りもしない

レンが嘘つくとも思えないし

『何も匂いしないよ?』

「え、マジ?」

『うん、気のせいじゃない?』

そう言うとレンはしばらく考えてから「ちょっと抱きしめさせて」と私を抱き寄せた

レンの髪が首筋に当たりくすぐったい

「するよ?甘い匂い...」

本当なのかな...そういえば、レンはどんな匂いするのかな...

ふと思った私は同じようにレンの首筋に顔をうずめた
すぅと息を吸えば、何とも言えない良い香りがした

蜂蜜のような、太陽のような、甘くて美味しそうな香り...

『レンからもするよ、良い匂い』

「本当?」

『うん、私この香り好き』

特別匂いフェチな訳でもないけれど、成る程これは癖になりそうな香りだ

美味しそう...
なんて思っていたせいか、気付いたらレンの首筋に歯を立てていた

カプリ...

「いっ!?ちょっとマスター!?」

『え?あ、ごっごめん!!何か凄い美味しそうな匂いだったからつい...』

「はぁ?何俺マスターに食われんの!?」

レンば地味に痛かったようで、半分涙目だった
まぁ、噛み付かれたら誰だって痛いだろうけれども...

「あ...」

『どうしたの?』

「いや、そういえば俺もマスターの香りって美味しそうだなって思う」

『私のも?』

「何か食べちゃいたくなるっていうか...今のマスターみたいな感じ」

うーん...それは、つまり...

『無意識にお互いがお互いを誘惑してるのかもね』

「誘惑?」

『好きな人にだけ、私を食べてくださいーみたいな』

「ふーん、マスターそんな事思ってたの?」

『だから無意識だってば!』

貴方が離れて行かないように甘い香りで誘い、二人の香りでさらに甘い世界を作り出す

それはきっとお互いがお互いを必要としているからなのでしょう?


君の香り、その意味


(じゃあ、俺マスターの事食べても良い?)
(何故)
(だって食べて欲しいんでしょ?)
(何度も言うけど無意k...)
(俺はマスターになら食べられても良いよ?)
(...............私も)
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