捧・貰

□伸ばした腕と伝わる温度
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僕のマスターは他の人に比べてスキンシップが大胆な人だ...と思う

抱きしめられたり、手を握られたりするのなんて日常茶飯事でその度に僕は真っ赤になるし、心臓どころか体中の色んな物が飛び出しそうなくらいドキドキする

でもそんな激しいスキンシップも嫌いじゃなくて、むしろ嬉しいとすら思える

だけど毎回のように僕の反応は同じな訳で、今だに大好きなマスターを自分から抱きしめ返すことすら出来ていない

『レーン君!』

「ふぁあ!?」

突然後ろから抱きしめられて情けもなく変な声が出てしまった

「マ、マスター?えっと....あ、の...」

顔に集まる熱を感じて、今もきっと僕の顔は真っ赤なんだろうなと頭の隅の隅で考えてゆっくり振り向く

『レン君良い匂い』

そう言って僕の首筋に顔を埋めるマスターに僕の心臓はもうバクバクでショートしちゃうんじゃないかってくらい煩い...

『.........』

「マスター...?」

キュッと力を込められた腕に少し違和感を感じてマスターを呼ぶ
だけど、マスターから返事は返って来なかった

『ちょっとだけ...ダメかな?』

しばらくして聞こえて来たマスターの声は震えているように聞こえた

「どうか...したんですか...?」

『ん...』

僕が問えばまた少し強くなる腕の力
その時に、初めてマスターが泣いていることに気がついた

あぁ...僕は何をやってるんだろう
恥ずかしがってる場合じゃないじゃないか
大切な...大好きなマスターが辛いときに傍にいられるのは僕しかいないのに

「っ...マ、マスター」

『あ、ご...ごめん』

僕が身じろぐとすんなり離された腕

その片方をぐいっと自分の方に引くとマスターが正面から抱き着く形になった

『...レン君?』

「あ...えっと...」

とっさに引き寄せたは良いがどうしたら良いか分からずにそのままの形で停止

次第に自分のしたことの大胆さにまた顔が赤くなる

『......ふふっ、ありがとう』

するとマスターは小さく笑って正面から僕を抱きしめた
これは...僕も腕を回しても良いんだろうか

おずおずとマスターの背に腕を回せばマスターも嬉しそうに抱きしめ返してくれた

やっぱりまだ羞恥心は残っていたけれど、マスターが少しでも元気になるようにと彼女から伝わる熱に瞼を閉じた



伸ばした腕と伝わる温度


マスターが喜ぶような励ましの言葉はかけられないけれど、僕は僕なりのやり方で...
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