I.T.L

□いつも側に
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『はなせよっ!!スレッド!!かあさんっ!!!』


悪夢にうなされながら、自分の頬につうう、と冷や汗が伝い、地面に落ちる。


『なんで……っ、なんでおれだけかぞくとはなればなれにならなきゃならないんだよ!!いやだっ、そんなのいやだ……っ!!』

――「嫌…だ……っ」


幼い俺は、徐々に遠退いていく家族に力いっぱい手を伸ばしていた。
離れたくない。なのに何故、離れなくてはいけないのか。

そんな夢の自分と同じく、現実の自分も手を、夢うつつなので力いっぱいとはいかないが、出来うる限り伸ばした。


『スレッドッ!!かあさんっ!!!いやだ……っ、いやだよ……っ!!はなせえええぇぇぇっ!!!』

――「っ……、離せえぇっ!!」


叫んだとほぼ同じ瞬間に俺はガバッ、と勢いよく起き上がる。身体中に冷や汗をかき、呼吸をするのも間々ならない。

最初から、夢だとわかっていた。
しかしそれでも、身体が過剰に反応してしまうのは、やはり家族と無理矢理離されたという大きなショックを植え付けられたからだろう。


「…っ……、はぁぁ…っ」


一先ず、過呼吸になりかけの呼吸を落ち着かせる為に、俺は大きく深呼吸をする。
ゆっくり深呼吸をする度に、荒くなった呼吸はもちろんのこと、ドクドクと速かった心臓の鼓動も落ち着きを取り戻していく。


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