I.T.L

□いつも側に
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二度と思い出したくもない過去の残像を、夢で再び振り返ってしまった。

今でも思い出すだけで、腸が煮え繰り返りそうになる。だが、その苛立ちはやがて虚しさに変わり、後にどうしようも出来ない複雑な気持ちになる。


「気分が悪い……」そう心の内で呟き、フラつきながらも部屋を後にした。

夜の静寂の中、俺は一人でレーラ荒原へと足を踏み入れる。シュールントからそんなに遠くない、荒原で一番高い丘へ上り、そこへようやく腰を落とす。


見上げれば、幾千もの光輝く星々。
その光が、苦しむ俺をまるで嘲[あざけ]笑っているように見えた。



俺は……、俺は一体、何の為に産まれたんだろう。

ルーバに利用される為か。
兵士や民間人を殺す為か。
手を…、血で染める為か。

どれも、俺が決めた生き方じゃない。
俺が決めた産まれた意味でもない。

何の為かじゃなきゃ、この世に産まれてはいけないのか……?



マイナスな方向へと考えれば考える程、夢で見た過去の残像を余計忘れられずにいることに、馬鹿なことに俺はそれを気付かずにいた。

ただ心の奥底で封印しただけの記憶。何かの影響で蘇ることなんて容易いもの。

苦しくて目をぎゅっ、とつむれば、見えてきたものは夢と同じ光景だった。


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