書架(CYパラレル)

□1.ただいま、おかえり
2ページ/3ページ


「コンラッド……?」
「はい、ユーリ」
遅くなって御免なさい、コンラートがそう云うと
「コンラッド!!」
ユーリは飛びついてきて、更にわあわあ泣き出した。
「ああ、そんなに泣かないで」
「だってっ!! だって、コンラッド、が……っ!!」
「はい、俺が悪かったですから」
もう泣かないで、頭を撫で乍らそう慰めるが、ユーリは暫く泣き止んでくれそうもない。
「だって、コンラッド、帰って来ないから……っ、おれ、……おれ……っ」
泣きじゃくり乍ら喋るものだから、だんだん呼吸が乱れて苦し気になる。
「ユーリ、大丈夫ですよ。 もう大丈夫ですから」
震える肩をぽんぽんと宥めるように軽く叩き乍ら耳許に囁く。
「深呼吸出来ますか?」
「っく、うう……っ、」
ぐず、ぐず、と洟を啜り乍らも、懸命にコンラートの云う通りにしようとするユーリがいじらしかった。
「大丈夫ですよ、ユーリ。 もう大丈夫、ね?」
安心させるように一定のリズムで背中を軽く叩き乍ら、もう一方の手で腰を抱き寄せる。ぎゅうっと密着して抱き締めることで、ユーリが落ち着いてくるのだ。
初めは引き攣るような嗚咽を漏らしていたユーリだが、コンラートのぬくもりと抱き締める腕に落ち着いてきたのか、小さく洟を啜る程度になった。
「じゃあ、もう一度ですよ、ユーリ」
ユーリは何を云われたのか解らなかったらしく、ぱちぱちと瞬いて不思議そうな顔をする。
「遅くなって御免ね、ユーリ。 ただいま」
一瞬、涙に濡れた瞳を瞠ったユーリは、くしゃりと泣き笑いのような顔になった。
「お帰り、コンラッド……!」



to be continued.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ