色々

□ゴジラ結婚疑惑!?
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「お父さんの駒よく回るねぇ!」
「こうやって回すんだ、よく見とけ。」

ミニラとチビ、そしとゴジラが駒で遊んでいる。
なんとも微笑ましい光景だ。ゴジラも、いつもの眉間の皺としかめっ面はどこへやら
口元には外では絶対に見せない柔らかい笑みをたたえていた。

そこにノックの重たい音が響いた。


「誰だ…?ミニラ、チビ、遊んで待っとけな。」
「はーい!」
「あーい!」


二人に駒を持たせて、ゴジラは客を迎えに行く。
駒で遊びだしたミニラとチビだったが、やがてあまりにゴジラの戻りが遅い事に気付き
そっと、玄関先へ様子を見に行ったのだった。
そして二人は、そこで見たのだった…

「しっかし、デカくなったな。」
「でしょう?君に見せてあげたくてね。」
「無理すんなよ。こんな体なんだから…」

大きくなったお腹…妊婦と思われる女性。の、その腹部を優しく撫でるゴジラ…
二人は…と、言うよりミニラは大いに驚いて、普段細い目を見開いた。
…チビは、なんだかよくわかっていないようである。

「お兄ちゃん、お父さん何してるのー?」
「しっ。チビ、お父さんは多分“こいびと”と逢ってるんだよ!」

女性の美しい長い髪が風に踊る。
ゴジラは微笑みながらその女性と話しているのだ。尚且つ女性は妊娠していて…
これはもうミニラの中で恋人の括りを付けずにはいられなかった。

「こいびと?」
「そうだよ。こいびとって云うのは、将来結婚する人の事だよ。」
「おとーさん結婚するの!?」
「多分そうだよ!きっとあの人が僕たちのお母さんになる人だ!」

そう結論づけた途端、子供達は不思議な気持ちになって顔を見合わせた。
そしていてもたってもいられなくなって、そっと自分達の住処を後にしたのだった。


「ラドンさん!」
「むっ、誰じゃ…って、どうしたお主ら!今日はゴジラとは一緒では無いのか!?」
「あのねー、お父さんは結婚相手とお話してるから。あのね、お母さんってどういう人?」
「母といったらな…………ん?結婚…?相手…???」
「今ね、お父さんの所に来てるの。」
「!!!!!!!!???」

その時ラドンに電撃走る。
まさか、まさかあのゴジラが…

みるみるうちに血の気が引いていき、体がガタガタと震えた。

「ラドンさん?」
「す、すまぬが母親の事はよくわからぬ故…モスラに聞いてもらえたら……
(ゴジラに!?あのゴジラに婚約者が居ただと…!?私は今まで何を…いや、しかしゴジラが認めた相手ならば……く、悔しいが認めねばなるまい…私は……ゴジラの相棒で居られればそれで……)ウッ……。」
「そっかぁ。じゃあチビ、モスラさんの所まで行こうか!」
「うん!いくー!」

ラドンは傷心した事を悟られないように平静を装っていたが、二人の子供が見えなくなった瞬間膝をついたのだった。

それからミニラとチビの二人は、道に迷ったり途中で遊びに誘われたりしながらも、なんとかインファント島にたどり着いたのだった。
そしてその頃には、二人に道すがら出逢った者達によってある噂が急速に広まっていたのである。

そして…

「ゴジラがっ!?」
「あのゴジラが?」
「ええっ!?嘘だろ!?」
「え、ゴジラが…?」
「「「「結婚する!!??」」」」

そしてこれは真実を見極めねばなるまいと、あらゆる怪獣達がゴジラ宅を目指すのも
もはや当たり前だったかも知れない。

「モスラさーん!」
「あら、いらっしゃいミニラくん、チビちゃん。」
「あのねー…」

ようやく二人がモスラに本題を告げる頃…


「だから、何の話だよ…???」
「惚けるな!結婚相手は誰だ!?美人か!?」
「なんで何も教えてくれなかったのさ!」
「ご…ゴジラ…幸せにな…!」

言われ無き祝言を寄越され、ゴジラは頭にはてなを浮かべまくっていた。

「んな事よりミニラとチビ知らねーか…目ェ離した隙にどっか行っちまった…」
「「お父さーーーん!!」」
「!?」

表に出て空を見やれば、其処にはモスラに連れられたミニラとチビが大手を振っていた。

「ご、ゴジラさん!」
「おう、悪いな…こいつら届けて貰って…」
「ご結婚すると言うのは本当ですか!?」
「…あんたもか…。」

皆と同じような疑問をモスラにすらぶつけられ、ゴジラはまともに頭を抱えた。

「ミニラくんとチビちゃんから聞いたのですが…違いましたか?」
「は…?ミニラとチビに?」
「あのね、お父さん綺麗な女の人と居たでしょ?だから…」

「ああ、あれか。つーかアイツ、ジラだぞ。」


……………………一同沈黙。


「「「えええぇーーーーーーーっっっ!!??」」」


彼らは知らなかった。
普段は男なジラが、ある時期だけ女らしくなる事を…
そんなこんなで問題は無事に解決したのだった。





終.
 

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