色々

□仲良くなりたくて
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浜辺でミニラとチビが楽しそうに遊んでいます。
其処へ近付く大きな影…

「や、やぁ!」
「??おじさんだれ?」
「?おじちゃん、だぁれ?」

彼らの父親と同等か、それ以上の体格を持つ大男はぎこちない笑みで二人に話し掛けます。

「お、おじさんは君たちのお父さんの知り合いだよ!」
「本当ー?」
「あー、でもおとーさんにお顔が似てるねー。」
「だ、だろ?親戚なんだよ!」

信じて貰えて嬉しかったのか、ニコニコ笑顔で二人に近付く。

「お、おじさんも一緒に遊んで良いかな?」
「良いよ。一緒に遊ぼう。チビも良いよね?」
「いーよー。あそぼー。」

砂の城を作りたいらしい二人はセッセと砂山を積み上げている最中だ。

「おぢちゃん、チビと水くんでこよう。」
「あ、うんうん。」

ザザーと波打つ海の水を運ぶ為、チビは身の丈の半分を超えるバケツを一生懸命運びます。

「チビちゃん、おじさんが持とうか?」
「だめー!チビがもつー!おぢちゃんはこっち!」

明らかチビ用と言わんばかりのミニマムなバケツの玩具を持たされる。
大きな男からすればそれはコップのようなモノだった。

波際で水をたっぷり汲んで、もとの砂浜に戻ろうとする、が…

「う゛〜…!」
「チビちゃん…!危ないって!」
「やだー!チビおっきいバケツ持ちたいー!」
(こ、困ったな…)

バケツの底を引きずりながら必死に歩くチビだが、足首まで砂に埋もれ
このままだと波から抜けられそうに無い。

(ちょっとだけ…)
「よし、じゃあチビちゃん、おじさんが魔法をかけてあげる。」
「まほう?」
「うん。ソレ、チビちゃん、力持ちになれー!」
「わあぁ!バケツがかるーい!」

はしゃぐチビ。
ちょっぴりだけ重力を操り、バケツをコップ程度の重さにする。
彼―スペースゴジラにとってこんな事は朝飯前なのです。

「わあー!お兄ちゃんお兄ちゃん!おぢちゃんはまほうつかいなんだよ!」
「魔法使い?」
「チビ力持ちになったよ!」
「わあ、チビ凄ーい!」

無事にバケツを運び終え、砂の上に置いた所で重力の制御を切り
スペースゴジラも子供達の所に向かいます。

「おじさん!おじさんは魔法使いなの?」
「そ、そうだよ!ほら、こんな事だって!」
「わっ!」
「わー!」

ミニマムバケツを手の上で空中にぷかぷかと浮かせば、輝く子供達の目。
沸き起こる拍手。

(し、幸せー!)

嬉し泣きをしそうになったその時です。


「おーい、ミニラ、チビ、そろそろ帰るぞー…って、くるぁああぁぁあーーー!!」
「あっ、待てゴジラ!おじさんは…いや、俺はただ子供達と、」
「こんんンンのショタコン野郎ぐわぁぁぁあぁぁぁあーーー!!!」
「がっふぁー!」

鼻骨にめり込む鉄拳、ドストライク。
吹っ飛ぶ巨体、ホームラン。
宙を舞う鼻血=プライスレス。


「帰るぞミニラチビ!」

子供達を素早く抱き上げ、ゴジラはダッシュする。

「えー、お城まだなのに。おじさんバイバーイ!」
「おぢちゃんバイバーイ。」

ゴジラの肩から顔を出し、手を振る二人に
スペースゴジラは涙と鼻血にまみれつつ手を振り返した。

肝心のゴジラとコミュニケーションが取れないスペースゴジラは、彼の誤解を解くのにまだまだ時間がかかりそうです。







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