Silent Sweetheart 【派生】

□ある日のすいーと・はーと
1ページ/5ページ

 達海が、盛大に拗ねている。

「後藤さんも村越くんもキライ
です!」

 ぷぅっと頬を膨らませ、唇も
尖らせている姿はとても可愛い
し、そもそも、達海が拗ねてい
るのは可愛いので後藤も村越も、
困りはするが機嫌を取ったりす
るのが嫌いではない。
 だが、今回の拗ね方はただ拗
ねているのではなく、怒りが含
まれていて、折れ所がわからず
に意固辞になっているいつもの
様子とは異なっている。
 だが、いったいなにが達海を
拗ねさせているのか、ふたりに
はわからないのだ。

「……なんで拗ねてんだ、あん
たは」
「拗ねてません!」

 なぜ丁寧語か。
 そもそも、ベッドの端で胡座
を掻いてぷっくり膨れておいて、
拗ねていないとはどういうこと
だ。
 村越は後藤と顔を見合わせ、
吸った痕が目一杯散った滑らか
な背中を見つめた。
 肉の薄い、肌触りのいい背中。
 見ているだけで噛み付きたく
なる。
 つい先程までふたりで達海を
抱いていた。
 達海も悦んでいたし、腰を揺
らして止まらないというように
イキ続けていたのを思い返して、
村越は細いうなじにガブリ、と
噛み付いた。

「ひっ!」

 驚いた達海が、胸の粒を探ろ
うと滑る村越の手を叩き落とし
てきつく睨んでくる。

「なにすんだよ!」
「あんたの背中見てたら勃って
きたから、もう一回ヤらせてく
れ」
「た……っ、バカっ! ちょ、
こらっ! 触ん、な、って!」

 左手で胸を、右手で下腹部を
撫で回す村越はカジ、と肩口に
噛み付いて、そんな村越を後藤
が笑う。

「村越、いい加減にしないと本
当に嫌われるぞ?」

 声を殺して真っ赤になってい
る達海は既に前のめりになって
いて、叩き落としたはずの手に
高められていくのを懸命に堪え
ているように見える。
 当たり前だ。
 村越は達海が堕ちる場所を触
っているのだから。

「気持ちよくねぇか?」
「……よ、くない、もんっ!」

 真っ赤になっておいてよく言
う、と思うが、ヨクナイ、と言
い張る達海はやはりなにか怒っ
ているのだろう。
 ひとつ小さく息を吐いた村越
は、既に熱くなってトロトロと
雫を零している達海から体を離
した。

「ン……ふ、ぅっ……、」

 だが、離れたら離れたでぺた
りと体を倒した達海は、中途半
端な下肢を自ら弄りだしたでは
ないか。

「おいおい、そりゃねぇだろ、
達海さん」

 苦笑しながら肩を竦めた村越
を横目に、後藤が達海の前に回
って欲望をおさめる手伝いを始
める。
 ちゅく、という音が耳に響い
た。

「気持ちいいか?」

 後藤が囁くと、意識までトロ
トロになった達海は、もうわけ
がわからなくなっているらしく、
コクン、と頷く。
 その様子を見た後藤が、頷く
のを確認して、村越は達海に覆
いかぶさった。
 達海の指は既に後ろにも触れ
ており、もしかしてひとりです
るときにもそこを使うのか、と
思うと酷く興奮した。

「んンぅ……」
「達海さん、指よりもっといい
もの、欲しいだろ?」
「んっ……ん、うんっ……う、
んっ」

 もう、達海が頷くのは、問わ
れれば頷くという反射でしかな
い。
 だが、頷いたのには間違いが
ないので、村越は達海の腰を抱
える。
 達海が赦してくれるこの行為
に関して、村越は遠慮というも
のを一切しない。

「いくぞ」

 低く告げると、達海の睫毛が
ふるりと揺れた。

「ん……!」

 衝撃に達海の背中が強く震え
る。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ