Silent Sweetheart 【41〜**】

□Silent Sweetheart 【62】
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「そう思ってんの、多分村越さ
んだけっスよ。俺ら、達海さん
はもう、ベタ惚れだと思います
よ?」
「今日だって、あんなにメロメ
ロにされちゃうまで抱かれても、
嫌がらないわけでしょ?」
「むしろ達海さん、すごい熱い
眼差しで村越さんのこと見てま
したよ」

 丹波、堀田、堺の順に言われ
て、村越は自分の顔が熱くなる
のを感じた。
 確かに、散々抱いて過ごした
昨日、村越は達海を存分に堪能
したわけだが、明けた達海の眼
差しは村越から注がれた愛に潤
んで扇情的だった。
 だが、

「……ヤりすぎて、笠野さんか
らしばらく我慢しろって言われ
ちまってな」
「ギャハ! すっげぇ! 笠野
さんにそんなこと言われちまう
くらいにヤったって、村越さん
若ぇなー!」

 丹波の笑い声が、村越には救
いだ。
 これで真面目に応対されては、
立つ瀬がない。

「実際、何回くらい……?」

 尋ねたのは堺で、ストイック
な堺が切り込んでくるとは思っ
ていなかった村越は驚きながら
も苦笑いを浮かべるしかない。

「覚えてねぇ」
「……それは、数えてない?
それとも……」
「……数えられない方だ」
「うわ、」

 堺が短く叫んでから日本酒を
グッと煽る。
 まだ酔いがこない状態で聞く
には濃すぎたか、と思う村越に、
堀田が酒を注いだ。

「実際、夕べからぶっつづけで、
達海さんから離れたのが昨日の
夕飯作る段階になってからだっ
たから……まぁ、反省はしてる
んだ、一応」
「えぇっ!? ……休憩もなし
ってことは……」

 それはない。
 さすがにウトウトと眠ったし、
抱き締めているだけの時間もあ
った。
 しかし、まぁ……

「……反省するくらいには凄い
状態だったってことですか」

 堀田の苦笑に、村越は沈黙し
た。
 まったくもってその通り、後
藤が達海と一日中抱き合ったと
知ったときから、嫉妬でおかし
くなりそうだった村越だ。達海
を独り占めして、かつたっぷり
味わうことができるとなれば欲
求が満たされるまで容赦せずに
達海を求めて、達海もそれを赦
してくれた。
 動けなくなるほど足腰がガク
ガクになった達海の世話を甲斐
甲斐しく焼くのも楽しかった、
などとは、決して人には言えな
いことではなあるが。

「達海さん、エロいもんなぁ。
色気半端ないから」

 笑う丹波はなにを想像してい
るのかあいも変わらずニヤニヤ
していて、村越はムッとする。

「そういうお前はどうなんだ。
あの赤崎相手に、苛められてん
じゃねぇのか?」

 問い返すと、答えは別のとこ
ろから来た。

「逆っスよ、村越さん。こいつ、
あのクソ生意気な赤崎相手にど
っちかっていうと振り回す側な
んスから」
「って、ちょっとー。堺ってば
酷くね? 振り回すってなんだ
よ。俺はあいつを、心の底から
愛してるだけだっての」
「……で、通販でソレ系のもの
買って赤崎に使うってどうなん
だよ」

 心底呆れた、という顔をする
堺が、丹波にツッコミを入れる。




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