Silent Sweetheart 【派生】

□がーるずとーく
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 達海はいま、世良と赤崎と石
神という少々おかしな面子でこ
こにいる。
 どこかと言えば……

「わー、石神さん家って始めて
だ!」

 そう、はしゃぐ世良が言う通
り、ここは石神のマンションだ。
 適度に散らかった感じが堅苦
しくない、青と黒が多めな色彩
の部屋。

「あ、座るとこ適当にどーぞー」
「うーっス。あれ、なんスかこ
れ……将棋の駒?」
「あー、それね。じーちゃんと
やるんだ」

 冷蔵庫からビールを人数分取
り出して、乾き物などをガサガ
サさせながらテーブルに放り出
した。

「ねーぇ、チョコレート、ない
のー?」
「え、達海さん、ビールにチョ
コレートっスか?」
「んー……やぁ、ビールにっつ
か、普通に甘いのが食いたいの、
いま」

 ソファーの上で胡座をかきな
がら唇を尖らせた。
 すでに少し酒の入っている達
海はその頬を上気させていて、
ほんのりと赤い。
 以前にジーノの行きつけの店
へ同行した世良なら酔った達海
の手に負えない様子を見ている
が、赤崎と石神はすでに少し驚
いているようだ。
 無意識に垂れ流されている色
気は達海の少し潤んだ瞳から、
薄く開いた唇から、さらには緩
く開いた襟元から立ち上り、い
つもはマイペースな石神が後ろ
頭を掻いて参ったという顔をす
るほどである。

「チョコー!」
「あー……プリンじゃダメです
か、達海さん」

 酔い初めのわがまま放題な達
海が要求するチョコレートは石
神宅にはないようで、考えた末
に思い出したらしい代替案は先
日堀田が差し入れてくれたもの
らしい。

「コンビニのクジで当たったら
しくて。三日前だから賞味期限
は大丈夫だと思いますけど」
「えー! も〜……まぁ、我慢
すっかぁ……」

 達海はうにうにとクッション
を弄りながら言って、石神から
大きなサイズのプリンとスプー
ンを受け取った。
 ペリリ、と蓋をとって滑らか
なプリンを掬い、はむ、と口か
ら迎えに行く。

「……三五迎えた男の仕種じゃ
ねーよな、いまのは」

 れる、とスプーンを舐める姿
はかわいらしくて、石神は苦笑
しながらその口許を見つめた。
 濡れてふっくらとした唇の弾
力は、まだ記憶に残っている。

「達海さんて、フェラとか上手
そうスよね」
「て、赤崎ぃ!」

 同じく達海の口許を眺めなが
らボソリと言った赤崎に、世良
が顔を赤くして飛び上がった。
 当の達海は、キョトンとしな
がら、んー……と考えている。

「でも、後藤はあんま出してく
んないよ? こないだは珍しく
出してくれたけど」
「マジっスか? 俺は割と顔に
掛けられたりとか……ヌルヌル
すんの気持ち悪ぃんで止めてく
ださいって言うのに聞いてくん
ないんスよね」

 酒が入っているせいか、ここ
にいる全員が所謂「オンナ」側
であるせいか、素で答えた達海
だったが、どうやら赤崎は丹波
とのセックスについて困ってい
るらしい。
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