。しりあす*長編

□シリアス6
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昼休み、希は急いで体育館倉庫に行った

先に行ってバットで殴っちゃえば良い


「よし・・・まだ来てないね」


来ていない事を確認すると出入り口から見えない近くの場所にバットを持って隠れた




ドクンドクンと心臓が緊張する


コツ・・・コツ・・・


かすかに足音がした


バットを強く握りしめる


そして・・・



ギイィ・・・


扉が開く


希の目に入ったのはあの男


バットを構え一気に男に振り下ろす


「!!!」


ガンッ!


男は間一髪よけた


「くっそ!」


一発でやろうと思ったのに


希はもう一回男にめがけてバットを振り下ろす


男はガッと両手でバットを掴んだ


「だから、なめんなよ」


「!」


これはヤバイ



希は逃げようとしたが男に捕まえられる


そして腹を思いっきり殴る


「俺に敵わないって事これでわかった?」


地面に倒れた希を容赦なく蹴る





「うっ・・・」


痛みで立てない


「!!」

唇に生温かいものが伝わる


「んっ・・・!」


男は何度も角度を変えながらクチュ、と音をたてる


抵抗する力が出ない



「はぁっ・・・今日はこれだけにしてやるよ。次はもうちょっと気持ちいい事してやるよ」


手をヒラヒラとさせて倉庫を出ていく男


「っ・・・」



涙が溢れる



好きでもない奴に


脅迫されて


無理矢理キスされた


「くっ・・・うぅっ・・・」


自分の弱さに腹が立って、ただ泣いていた




昼休みが終わり5時間目


殴られた腹がズキズキ痛む


当然その場所以外も痛むが腹は違う痛みだった


気持ち悪い気がする



お昼食べなくて良かった


そう思いながらお腹に手を当てる


だけど顔には出さない


ボーッとしてるふりをしてたら案の定先生に「ボーッとしてる藤城に質問ー」と言われる


クラスの奴等が笑う



錫也は心配そうに小さな希の背中を見つめていた
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