*Starry★Sky

□ぬいぬい【優しい人】
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泣いていた


図書室倉庫でこっそりと___




不知火は図書室倉庫に用があり放課後そこに居た

ギィ、と扉が開く


『ん…?図書委員か?』


倉庫に用がある人なんて図書委員か先生くらい


不知火はしゃがんだまま誰だ、と尋ねようとした時


グスン、と泣いてるような声がした


『?』

不知火は本棚の隙間からそっと覗くとそこには最近転校してきた女子
2年の名字名前が居た


名前は人とそんなに関わらず、
一匹オオカミな女の子が来たと生徒の間で言われていた


ブー、と名前の携帯が鳴る

目つきを変えて携帯に出る

「何」


相手は親からのようだ


「何でアンタにそんな話しなきゃいけないわけ」


「関係ないじゃん」


「それ聞くためだけにかけてきたの?」


「黙れクソ」



会話という会話をせずにブチッと切った名前


「死ね…っ!」


そう言って名前は携帯をバン、と前の棚に投げつけた


「何で産んだの…」

名前は独り言をポソポソと言った

「あぁそうか…産まれた時にこんな子になるなんて思わないよね。
失敗作でごめんなさい…何も出来ない子でごめんなさい…」



良い事しても

否定ばかりされて


努力しても

足りないって言われて


本音言ったら

怒られるし


黙っていれば

何か言えって怒鳴られるし


ヘラヘラ笑ってれば

悩みなさそうだねって



ゴトッ


「!」


不知火が本を落としてしまった


「誰か居んの…」


不知火はそろっと出てきた

「悪い…盗み聞き…するつもりとかじゃなかったんだが」


「出るタイミングなかったんだね」


「そーゆう事だな…ごめんな」


不知火は申し訳なさそうに名前を見た


すると名前はフッと笑った

「馬鹿だよねぇー。泣いて、親に悪たれて、携帯に八つ当たりに変な独り言。アホらしい…」


どこか遠くを見ながら言った


「お前はここでいつも一人で泣いてたのか?」

「たまにね…最近はしょっちゅう。自分にムカつく」


少し目つきがキツくなる


「あ…俺は不知火一樹、生徒会長だ。一応自己紹介をな」


「何となく知ってる。壇上で言う事印象的だった。」


「そうか…」

名前は投げだした携帯を拾いに1、2歩前に出る


「ウチの事は知ってるでしょ?女子は月子ちゃんと2人だけだし。ぁ、良かった。携帯壊れてない。」


「まぁな。」


「月子ちゃんがねー、会長は良い人って言ってたよ。
何でも相談に乗ってくれるし、頼れるし、皆の事気にかけてくれてるって。
さすが生徒会長ー」


「そんな良い人なつもりはないがな…。」


苦笑いする不知火


「ねぇ、良い人ならウチとここで会った事、なかった事にして」


携帯をパタンと閉じる名前


「どうしてだ?」

「ウチの事、知らなかった事にして。知っても、もう無駄」


そう言って図書倉庫を出た名前


「おい、無駄ってどうゆう意味だ?」

「だから、知らなくて良いよ」


廊下に足音を響かせながら名前は去っていった
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