。しりあす*長編

□シリアス9
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「確かに…本当の痛みを知る事は出来ない
 だけどそれでも、少しでもわかる事が出来るなら俺は希の傍に居たい」


本人じゃなきゃわからないだろう


同じ立場の者同士でなきゃ本当の事はわかりあえないだろう


だけど


それでも


助けたいって思う俺の図々しさを許してくれ


「俺は…お前の事何一つわかってやれなかったが…
 けど今、少しだけわかったような気で居る俺の図々しさ、許してくれ…」




知ってほしい


笑ってばっかじゃないって



悩みなさそうなんて言わないで


何も考えてなさそうなんて言わないで



笑ってる姿しか見せてないからそう言えるの


悩んでなさそうに見せてるからそう言えるの


何も考えてないふりして


本当はすごくつらいの



「会長はすごくウチの事気にしてくれたよ…
 でも、ウチは強がりで、弱い部分とか見せたくなくて
 本当は悩んでるなんて思われたくなくて…」


ずっと隠してた


誰にも見せずに


自分だけが知ってた


「だけど、そんな強がってるのを誰かに気付いてもほしくて…矛盾してるんだよね。
 気付かれたくないのに本当は気付いてほしいなんて…めんどくさいよね」




でも

誰でも良いってわけじゃない


ウチの事知らない奴に本当の姿見せたくはない


ウチの事嫌いな奴に本音を言おうとは思わない


「わがままだよね…ホント自分嫌い…」


馬鹿みたい


結局


同情されたいの



慰めてほしいの


「それでお前が明日も生きようって思うなら、何も悪い事はないだろ」


そう言って不知火は希を優しく抱きしめる


「自分勝手でも、迷惑かけても、それでお前が明日も生きてくれるなら
 俺は全力でお前に付き合うよ。途中で見捨てたりなんか、絶対しない」


「どうして絶対なんて言えるの?」


「俺と、お前の未来が見えるから」




今、どんなにつらくても

死にたいって思っても


見えるんだ



少し先の未来


俺と、お前は笑っていて


お前はすごく幸せそうに笑っていて



もし、俺がその笑顔に出来るのなら

傷つける事いっぱいあるかもしれないけど



その日が来るなら____






「希、俺はお前が好きだ。」
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