。しりあす*長編

□シリアス7
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希は週1のペースであの男に呼び出されていた


一度は他の人に相談しようとした希


だけどこの事を誰かに言ったら希の友達に怪我をさせると言われた

自分のせいで他の人が傷つくのは絶対嫌

希は黙っていた



呼びだされた日は運よく逃げだせた時もあったが


それ以外、殴られたり蹴られたりして動けなくさせられた後、体中を触られた



「ぅう・・・」


こんな事絶対他の人にバレたくない


絶対自分で片付けてみせる



呼び出しが始まって一か月が過ぎた


もう6月の中旬で、ほとんどの人が上着を脱ぎ、Yシャツだけになっていた

そんな中薄いパーカーを着ている希


教室内はクーラーが効いてるし、廊下もそんなに暑くない


月子もクーラーが効いてる教室では薄手のカーディガンを羽織ってる時もある


別にそんなに目立つ事ではなかったので希は安心した


アザがなかなか治らないからパーカーなどで隠していた


「いった;」


階段を下りる時ズキンと足首に痛みが走る

「希、どうした?」


錫也が聞く


思わず口に出してしまった

「んー、何か足が痛かった気がする!」


変に痛くない、と誤魔化すより濁したほうが良い


「大丈夫か?」

「ヘーキ!一瞬だったから」


ジンジンと痛むが何事もないように歩きだす希



だけどそんな事をしてたら治るもんも治らない

痛みをほとんどカバーせずに普段通りの事をするのだから治りは遅くなる



「ねぇ」

パシッと誰かに腕を掴まれる

「痛っ;」


腕の丁度怪我してる所を掴まれたから反射的に痛いと言ってしまった


振り返ると土萌が居た

「何で痛むの?僕、力入れてるつもりないけど」

「や、当たり所が悪かったんだよ!」

「当たり所が悪い?そんなとこ腕にあるの?」


土萌は喋っててちょっと疲れる・・・

聞きたい事ズバズバ聞いてくるし失礼な事も簡単に言う


「ウチ的に当たり所が悪かったの!」

「きっと君は逆の腕を掴んでも同じ事言ってただろうね」

「!」


真っすぐ希を見つめる


キレイな瞳のせいか、見透かしたように言われた事に動揺してるせいか

土萌の目をそらせずに居る希


「なにそれ〜。ウチの事試したの?」

「そうだよ。君は本当の事言わないから僕等が試さなきゃなんないんだ。」

「何で試す必要があるの?」

「月子が心配してるから」


月子が心配してなきゃあんた等はこんな事しないのか・・・


「そっか・・・月子大事にしなよ!」

そう言って土萌の手を振り払い足早に去って行った



幸せなんだね

同じ人間でもこんなに愛されてる人と愛されてない人との差が出るんだ


土萌はウチを笑いに来たの?


お前自体には心配してないよって

お前は愛されてないんだよって



そう言われてる気がする


そんなつもりは当然土萌にはないだろうけど


でも、愛されてない奴の考え方ってこんなもん


なんて悲しい奴



死んだ方が良い


でも生きてる


図々しくてゴメンナサイ




腕の痛みを感じながら休み時間が終わるまでトイレで泣いて居た



(なんて弱い奴)


(愛されない理由)




(知ってるから)
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